異世界〜貴族のロリエルフは王都で俺と結婚したいらしい。イマイチ乗り気じゃないんですけど。先回りしてイベントをクリアしたら主人公が怒って攻撃して来た

第3話 最速クリア者はシスコン

ルシファーの兄ってことは……

「はい、彼の名はルシフェル」

マジかよ……。

ルシファーにそっくりじゃないか！

本当にゲームの設定どおりだ。

魔王サタンには二人の子供がいる。

双子だ。

女子のルシファーと男子のルシフェル。

ゲームでは魔王を倒したことで、双子は消滅したはずだ。

「ゲームの設定と違うな」

でも、今こうして目の前にいるのだから信じるしかない。

つまりここは、俺がプレイしていたオンラインゲーム『ゼノングランドクロッセオ・背徳の少女たち』の世界なんだ。

だが、どうも異なる。

「本当は私達双子は消え去るはずでした。だが、父が命を繋いだのです。俗に言う『世界更新』が何者かにより発動されました。父の運命はその時変わった」

私達を生かす運命を選んだ。

ルシファーはそう告げる。

「『世界更新』？」

その言葉がある言葉と繋がる。

「拡張パックver1.6！」

思わず声を上げてしまった。

確かにアップデートの予告は会った。

だが、アップデートが本当に行われ、このゲームを模した異世界にまで影響があったとは。

つまり、俺は初見の冒険を、この異世界で体験する羽目になったわけだ。

「あなたの名前はなんですか？」

ルシファーが尋ねてくる。

「俺は佐藤洋。ただのプレイヤーだよ」

「何故、あなたが選ばれたのでしょう？」

さあ？

こっちが聞きたいくらいだよ。

「しいて言うなら、『ゼノングランドクロッセオ・背徳の少女たち』の最速クリア者だからかな」

正確には、一番最初にクリアしたのが俺というだけだが。

まぁ、自慢してもいいだろう。

あれだけやりこんだんだから。

ちなみに、二番目は妹の理沙ちゃんだ。

彼女は彼女でまた別の才能を持っている。

俺は極度のシスコン。

ちなみにね。

ルシファーは少し考える素振りをする。