RRRがもたらしたもの

 仕事に忙殺され(KACでムリしちゃった)半月も更新が遅れたことを懺悔したいと思う。

 そしてこの勢いだけのエッセイをお読みくださった方――狂った方ならお分かりいただけると思うが、「RRR」は私の日常に居座り続けている。いくつか紹介したい。



 1.息子(7歳)が「Naatu Naatu」を口ずさみ踊るようになった

 癒される、これホント良い。家の中に好きなものの良さを共有できる相手がいることは素晴らしいことだ。

 それにやはり、アカデミー賞を受賞した歌唱とあのにっこにこになるシーンの吸引力はすごいのだろう。うなる膝、立ち昇る土煙、ラーマのサムズアップに喜ぶ息子はRRRの勢いを正しく感じ取っているに違いない。いいぞ、息子。そのまま順調に母に染められよ。

 ただし、動画鑑賞の時間は有限(ドリル1ページにつき15分ルール)だ。うっかり「RRR関連のプレイリストが観たい」などと言われようものなら、つい息子の口ずさむ「Naatu Naatu」と一緒に歌ってしまうし、約束の時間を超過してしまうのだ。気をつけていきたい。


 2.youtubeくんがRRRのプレイリストを一番にオススメしてくれるようになった

 これは恐らく「あるある」だろう。

 もうさ半月経って感じる「Dosti」の溢れるストーリー性よ……! 見える、見えるのよ曲だけで――あの水底ダッシュからのなんかよう分からん人間タワーに上ってスイカ割って……すんごく仲良くなって色んなとこ行っておしゃべりして……でもふたりは敵対関係で……

「赤くなったな。恋人か?」「うん」

 ラーマの「うん」の破壊力ぅぅぅぁあぁぁぁあああああ!!!!!

 かっ可愛い、かわいすぎるずっけぇぇぇぇ!!!!!


「シータ」


 なにその優しい声えええぇぇぇぇ!!!!!

 ――仕事しながら聞いてても、毎度揺らされる情緒。いいよ、うん、ここは幸せなシーンだからね、いいよ。


 3.職場でRRRの話ができる

 例の可愛い後輩のことである。そう、3話の彼女との月曜日の邂逅について話さねばならない。


 翌月曜――私たちのデスクは窓際、8時から快晴の朝だった。

「ラ・ラ・ランドみたいな話だと思ってました」

 しかし、この台詞が耳に残って離れなかった私の内心はいくら空が晴れててもレイニーブルーだった。そりゃそうだ、ひとまわりも年の違うかわいい後輩同僚に全然好みじゃない暴力×ヴァイオレンスなインド映画を薦めた先輩と思われたら、と不安を抱くのは当たり前だろう。ガクブルだ。

「おはようございますー」いつも通りの情緒を装ってデスク周りに挨拶を放った私は、さりげなく隣の席の彼女に視線を遣った。

 彼女は――美白でかわいい彼女は明るい陽射しを頬に受け、私に「おはようございます。お疲れさまでしたw」とごく自然に微笑んだ。その瞳には照れとポジティブな明るさ……!

 朝から『お疲れさま』とは、と疑問を持った同僚もいたかもしれない。しかし私の不安や心配はその瞬間に霧消した。

 そこからはまだ話し言葉では語彙力が戻って来ていないのを自覚しながら(だってさすがに象徴考とかラーマああぁぁぁなんて叫べない。職場内社会のは避けたい)、めっちゃ感想を言い合った。楽しかった……良かったリアルに話せる人がいて。すごいね、リアルにいるって……(泣)


 そして彼女の口から「いやぁ、(次の日帰省して)友だちに絶対観てって言いまくりました」と聞いたときの私の顔を、みなさんにお見せしたかった。もちろん、にっこにこだった。



 ――お分かりいただけただろうか。家と職場で我らが「RRR」は完全に市民権を得てしまった。あぁ可能ならもう一度映画館で観たい。あと2Rしたい……!(でも休みがない)

 そして渇望しているからだろうか、動画に上がっていないシーンが時折目蓋にちらつくのである。

 例えばラーマが目の上に血だまりを作って群衆を見つめる場面。バイク屋で足蹴にされるビームの姿、その後「迷惑がかかる」的なことを言う表情。マッリと格子越しに抱き合うビーム(うっぅぅぅ)

 そしてスコット提督のすげぇアクション(度肝を抜かれた。銃弾ひとつのコストにこだわるだけの男じゃなかった)。シータの再登場シーン、天然痘患者がいるって小芝居。


 ああああッ! 思い出した。

 シータ、木蓮(「ぼくの地球を守って」日渡早紀)にしか見えなかった件!(分からない方は今すぐお読みください。花とゆめ白泉社コミックです)

 1巻の木蓮だよ、亜梨子が書いたイラストとか月基地の夢に出てくるあのあたりの木蓮! もうさ、なんかまるで和歌の本歌取りみたいに、「ぼく地球」のあの切ないイメージがぶわっっときてさ泣けた。ラーマの過去が辛すぎて泣けた。あぁぁ紫苑……ラーマァァァ!!!!

 私の情緒は勝手にちりぢりよ。


 か ら の 救出劇、最強の肩車だもんだ。

 あぁ「最強の肩車てw」と笑っていた過去の自分をぼっこぼこにしたいよ。ブロマンス極まってた、たぶん2020年代最高のブロマンス映画として後世に伝えられると思う。いや、アクション? エンタメ?


 なんでもいいや、とにかく最高だった。

 こっから10年、事あるごとに布教し続けることを誓う。早くDVD出ないかな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る