第2話 ゲームが現実になった場合

「危ないっ!」


咄嵯に身をかわすムネタカ。


「あっぶねー」


今のはヤバかった。

もう少しで焼かれるところだったぜ。

ムネタカのレベル99なら楽勝だけど。


「ちょっと待てよ」


ドラゴンはレベル50くらいの強敵。

ムネタカのレベルなら楽勝で倒せるレベルだ。

だが、現実の身体を動かして戦うとなるとどうか?

実際、装備品を確認すると、光の剣が腰に差さっている。

剣道すらやったことが無い日本人のムネタカ。

実際に剣を振うことは可能なのか。


「これは厳しい戦いになりそうだ」


ドラゴンが再び襲ってくる。


「ガアアッ!」


鋭い爪で切り裂こうとするドラゴン。


「お!」


咄嗟に身体が動いた。

ヒラリとかわすムネタカ。

すかさず反撃に出る。


「せいっ!」


ズバッ!! 光の剣でドラゴンの腕を切り落とす。


「グワオオオッッ!!」


悲鳴を上げるドラゴン。


「とどめだ!」


ジャンプ!

こんなに高く飛べるとは!

ゲームのステータスはそのまま自身の運動神経と直結している様だ。

ドラゴンの頭に着地。


ドス!


硬い表皮に光の剣を突き立てる。

ドラゴンの身体が光に包まれる。


「ゴアアアア!」


断末魔の声を上げながら消滅するドラゴン。

光り魔法を纏う光の剣は、勇者が使用できる最強の武器だ。


「ふう」


勝った。

勝てたぞ。


だが、疲労感が半端ない。

ゲームではプレイヤーに疲労感何てパラメータは無かった。

だが、ここは現実の世界。

動けば疲れる。

ステータスとして疲労度は無い。

身体と脳みそで感じる疲れこそが、疲労度だ。


つまり、疲労度が高まれば、いくらレベルが高くても十分な戦いが出来ないということか。


「肝に銘じておかなきゃ」


つまり、ゲームの様に連戦することは命とりを意味する。

レベル相当の戦いが出来ないということは、格下モンスターに負ける事だってある。

最悪は死亡。


死亡するとゲームでは最後にセーブした教会からスタートだ。

だが、この現実世界の場合どうなるのだろうか。


色々疑問があるし、不安が湧いて来る。

決して、カンストした今の状態が安心という訳ではないという現実。


「早く仲間を探さなきゃ」


ムネタカは街を目指した。

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