第11話*扉の先の世界、シリウスの思い
さっきまでスーツに黒髪だったのに、ここに来た途端、また姿が変わってる。髪、シルバーだし、服も……王族衣装? なのかな? この人、シリウス……だよね?
「……シリウスさん? ですよね? そのシルバーの髪、この間あった時にも見せてくれたから、そうかなと。その髪を見ると、会った時の事を思い出します。それにしてもまた、一瞬で姿が変わるなんて。それも魔法ですか?」
じっと見つめながら言う私に、シリウスは少し照れている。慣れてきたとはいえ、まだ不思議でならない。
「うん、俺はシリウスだよ。急に姿が変わってまた、驚かせたかな? 髪を見て、幼い頃の事思い出してくれたみたいだね。そう、これも魔法だ。せっかくここに来たんだし、みさも着替えようか? それも可愛いけど……」
と言った瞬間、私を光が包み込む。みるみる姿が変わり、オレンジの淡いドレスに身を包んだ私がそこにいた。
「凄い……これが魔法……素敵なドレス。何処かに姿が映せる鏡無いかな?」
とクルクル回っていると、
「みさ、あっちに小川が流れてるよ。行ってごらん」
シリウスに言われ行ってみると、綺麗で透明な水が流れている小川があった。水面に映った自分を見てみると、綺麗なドレスに身を包んだ青髪の姿をした自分だった。
「髪も色が変わってる。確か、私は染めていないとこんな色って言われてたような……?」
「うん、やっぱりそっちの方が良いよ。綺麗な青い髪だ」
シリウスは私が青い髪って知っていた? どうして……? まぁ、うん、いいや。もう、これくらいじゃ驚かない。
私は色素異常と言われて、ずっと髪を黒に染めていた。本当の色に戻って、綺麗っていわれるのは嬉しいな。
「ありがとう! 青い髪が綺麗だって言われたのは初めてで、嬉しかったです。それと、少し思い出しました。出会った頃のこと、シルバーの髪の男の子と過ごしたこと。……ここが、幼い頃一緒に過ごしたお花畑だったのですね。それにしても、扉で繋がっている世界……何だか不思議です」
「不思議……そうだよね。みさの国は魔法が無い世界だからな。けど、この扉は俺の世界でも特殊で、ホシノカケラやシズクを持たないものは通れない。云わば、王族専用の道、そして、俺の国『アルダバラ』への近道なんだ」
王族専用……そんな凄いものだったなんて。こんな大変な道、私が通っても良いのかしら?
「そんな大変な道……王族の大切な扉、私なんかが通っても良かったのでしょうか?」
そう私が聞くと、シリウスは優しく微笑みながら、真っ直ぐと私を見つめる。
「それはね、みさを探してた理由にもなるんだけど、驚かないで聞いてね?」
シリウス、凄く真剣な顔……まぁ、ここまで来たら、よっぽどの事じゃないと驚かないけどね。
「はい。シリウスさん、きっと真面目な話なんですよね? これだけ色々経験したら、よっぽどの事でない限り驚きませんよ。お話を聞かせて下さい」
私はシリウスを見つめ、返事を待った。
「……みさ、落ち着いて聞いてほしい。俺は、みさをこの国の皇太子妃として迎えたい。そして、ゆくゆくは皇后に。みさ、僕と結婚してほしい」
シリウスは跪き、私の手に口づけをした。
「は……? え?」
ちょっと待って、今、シリウス……この人何て言った? は? え? 皇太子妃? 何言ってるのこの人? 手に口付けされてるし……
シリウスが言った事は、私の想像を遥かに越えていた――
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