第9話*シリウスの正体は皇太子様!?
日曜日――
私は朝からウキウキしていた。今日はあのシリウスに会える日。この間再会できたのが先週の土曜日。
一週間が長かったな……。
約束の時間は10時。だけど……いてもたってもいられなくって、公園に着いてしまった。時刻はまだ9時。
「後、一時間もある。けど、まぁいっか」
普通、一時間もあるっていったらどうしようってなるけど、そんな事なんて全然思わない。今まで何年も会えなかったのだから。
ベンチに座って、わくわくしながら待っていると、向こうから人影が。もしかしてと思って見てみると、二人の男性だった。
違うと思い、気にしないで居ると目の前に。驚いて顔を上げると、シリウスと、知らない男の人だった。
「みさ、早かったんだね」
満面の笑みで手を振り、シリウスが話しかけてくれたけど、私は隣の男性が気になって仕方がなかった。
シリウスと二人っきりじゃないんだなと思うと、何だか残念。
「シリウスさん、こんにちは。楽しみすぎて、早く来ちゃいました」
「そうなんだ! 嬉しいよ。けど、流石に驚いた。まさか、まだ一時間もあるのに来てたなんて。俺の方が早いと思ってたよ」
ニカッと笑う顔が眩しい。でも……。
「あの、そちらの方は?」
「ああ。こいつは俺の側近のフィリスだよ」
シリウスが隣にいる男性をそう紹介すると、その男性が礼儀正しく頭を下げる。
「みさお嬢様、私はシリウス様の側近フィリスでございます。よろしくお願い致します」
もの凄く丁寧なので、何だか緊張する。
「こちらこそ、よろしくお願いしますフィリスさん」
と、答えたが……んんん? 今、側近って言った? 疑問が残るなか、シリウスが続けて話す。
「フィリスは、凄く優秀な側近なんだ。俺のずっと傍に居てくれてる。そうだな、俺の右腕だな」
言われて、フィリスも嬉しそう。
……いや、それよりも! やっぱり気になるっ!
「あの、シリウス……さん? 側近て? えと、シリウスさんってもしかして偉い人?」
「あれ? みさに言ってなかったっけ? 俺は、母国【アルダバラ】、つまりみさと出会ったあのお花畑がある国の皇太子だよ」
さらっとそう言って、ニコッと笑うシリウスに、私の頭の中はパニック状態。
「こ、こ、こ皇太子って? え、えとえと……」
言葉が上手く出てこない。
「みさ、驚き過ぎだよ。そんなに固まったり、緊張しなくても大丈夫だよ?」
シリウスはそう言うけど、皇太子って王子よね? 王族だよね? そりゃ、格好良いし、モデルみたいとかも思ったし、私の王子様~とかとか、夢見ておもったりしたよ? けどけどっ! 本物って? 本物の王子様なんて、どうしたら良いのよー!
心の叫びが……止まらない。シリウスがパニクっている私を心配そうに見てる。
「うん、ごめんなさい……驚いてしまって。まさか、皇太子様なんて思わなくて。あの、アルダバラ? って何処にある国何ですか?
すいません、聞いたことなくって」
私の言葉を聞いて、シリウスとフィリスは顔を見合わせてふふっと笑う。
「知らなくて当然だよ。俺の国はここ【地球】にはないのだから。あの扉で繋がっている先にある国なんだ。ここみたいに、人だけでなく、人と精霊、エルフや魔族、悪魔なんかが共存する世界なんだよ」
シリウスが話す事が現実離れしすぎて、私はまだ夢を見てるような感覚になっていた――
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