第3話*養子……?

「みさは、彼氏作らないのー?」


 と、言っているのは友達。私は高校二年生になっていた。


「うん……私、好きな人いるし」


「また、例の石の王子様? っていっても、小学生の時に一度会っただけでしょう?」


 確かに、あれから一度も会っていない。でも、気になってしょうがない。他に気になる人も居なかったし、特に彼氏が欲しいとも思わない。


「そうなんだけどね……」


「まぁ、みさはあれだよね。みさのお兄様、格好良いもんねー。あんなに格好良い人が家に居たら、なかなか見付からないよね」


「お兄ちゃん? うーん、そんなに格好良いかなぁー?」


 正直良く分からない。確かに成績も良いし、スポーツもできる。のは、凄いと思うけど、あの男の子と比べるとやっぱり違うんだよね。名前ももう、ちゃんと思い出せないけれど……


「そうだよ。格好良いよー! 私が妹なら自慢しちゃうけどなぁ。まぁ、みさには王子様がいるもんね」


 なんて、いつもの他愛ない会話をしながら、また今日もあの人の事を考える。


 いつも休みの度に、公園を中心に色々な所を探しに行ってみた。けれど、あのお花畑は見付けられなかった。


 あなたは……今、何処にいるの……?


 ネックレスにした石と、花びらの栞を見つめながら願う。

 また、会えます様にと……



 *



 今日はお兄ちゃんの誕生日。誕生日プレゼントを買って、家へと急ぐ。家に着くと、お父さんとお兄ちゃんの靴があった。


 珍しいなー。お父さん、もう帰ってるんだ。お兄ちゃん、部屋かな? そう思いながらお兄ちゃんの部屋の前に来ると、声が聞こえた。


「……え? 父さん、今、なんて? それ、みさは知ってるの?」


 え? 何? 何の話? 今、私がとか言ってたよね?


 部屋のドアに近付き、そっとドアに耳を当てる。


「いや、まだ、言ってない。今日は光、お前の誕生日だ。今日でもう十八、成人だから、ちゃんと言っておこうと思ってな。みさには来年、十八になった時に言おうと思う」


 父が何かを兄に伝えた様だけど……


 何の話?


「そうなんだ……みさ、知らないんだ……なぁ、父さん、俺……」


 私が知らない事って、何? お兄ちゃんも何か言おうとしてる?


「光……お前、本当にみさの事……」


「父さん、気付いてたの!?」


「ああ、お前がみさの事を好きだってことは何となく気付いてた。みさが養子だって事を今まで言わずに待ったのは、お前の気持ちも考えての事だ」


 え……? 私、養子って……? お兄ちゃんが、私の事を好き……? 血が繋がってない……?


 考えがまとまらない。心臓がバクバクいってる……どうしたら……


 ガタッ!


 あ! どうしよう……お兄ちゃんのプレゼント落とし……


「誰かそこにいるのか?」


 お父さんの声がしたが、どうして良いか分からなくなり、そのまま家を飛び出していた――







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