千の夜を抱きしめて

そう無職男性って時点でなかなか雇ってなどもらえない

まだ面接もしてないっていうのにいつの間にか終わっていた

たぶん一目で無能ぶりがわかったのだろう


学歴もないし資格もないし特技もないし頭も悪い

俺の履歴書は真っ白け


あまり真実は語れない

「仕事がキツくて辞めました」

「対人関係が原因で辞めました」

とりあえず嘘を吐けるところは吐かなくちゃ


真っ白な履歴書には真っ赤な嘘を

バレたら馘になればいい

どうせそんなものだから


無職の求職活動がこんなに厳しいとは思わなかった

とにもかくにも無職の理由の質問は絶対の儀式

正直に言って別に怠けていたわけではないのだ

ただ疲れ果てドロップ・アウトしただけなのだ


なんて理屈が通用するほどこの世界は甘くない

この社会は甘くない

“みんな辛いけど頑張っているんだから”

そうねそうですねそりゃそうですよねぐうの音も出ません


だから働きたいのだ

辛くても努力して頑張りたいのだ

といくら嘆いたところで俺の履歴書はとっても白く

そして日々は続き無職の日々が増え、

ますます白い眼で見られちゃう


無職だから職に就きたいのですよ

金を稼いでないから金を稼ぎたいのですよ

おかしい どうもこの理屈が通じない

それともそんなに俺は悪いのか


説得力、俺に欠けているもの

そりゃ確かに俺が面接官の立場なら

新卒と無職のどっちを雇うかっていったら、まあね

結局俺って死んでしまった方がいいのかしら


朝はやってきた瞬間すぐに幕を下ろし、

猛烈なスピードで昼が過ぎ去ったと思ったら、

24時間前とは思えない感覚の夜がやってくる


人と話してると咽喉が痛くなる

ただの配信メールでも来ないと寂しいものだ


こんな経験もこれはこれで何かの役に立つのだろうか

いつかこの夜も明けるのだろうか

そしたらいつか笑い話にしたりできるのだろうか

今日も俺は求人を求め続ける

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