幸せなら手をたたこう

居心地のいい場所にいると

“ここには長くいちゃいけない”と思う

ひょっとしたら性格が悪いのだろうか

今ある幸せを享受できない


それはもちろん白熊が南国に生きていないからって

睡蓮が水の上じゃなくて地面に生えていないからって

誰も彼らを甘えているとは思わないんだけど

でも俺は白熊や睡蓮じゃない

だから余計に始末に負えない


だからって嫌な場所に行きたいわけじゃない

そんなことになったら即効逃げ出す

たぶんどこにいても違和感を覚えるから

置かれた場所にいることができないんだろう


たぶん俺は惑わされている

本当に大切なものは簡単に手に入らない、

であるならば

難解さ複雑さを求めるべきなのでは、


今、とっても楽しい

幸せを感じている

だからこそこれは異常事態

いつか必ず終わるだろう

そう思えて仕方がない


幸せになるのはとても怖い

終わるかもしれないから

また元に戻るかもしれないから


幸せになってから不幸になるのは、

もともと不幸なのよりもずっと辛い

それでもほんのひと時でも幸せな時があったのなら、

まだマシだと思った方が幸せなのだろうか


幸せになるのはとても簡単だ

だけどそれよりも不幸になる方が遥かに簡単だ

ほんのちょっとズラすだけで

全てはガラガラと崩れ落ちる


そうしてしまいそうで怖くなる

なぜそうしてしまいそうになるんだろう

それは放っておいたら誰かに壊されるかもしれないから、

それならいっそのこと自分で

そしたら運命を呪わずに済むから


それでも今はこの幸せを感じていたい

たとえ今だけだったとしても、

今この幸せを大切にしたい

できることなら永遠に

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る