The Long Homework

あの頃は防御の姿勢で一杯一杯だった

いじめられるんじゃないかとそればかり

だから常にハイテンションで道化を演じて

反動でしょっちゅう泣き喚いたり


もちろんそれはそれで俺の一部なわけだけど

ありのままとは言えない

とても自分らしい生き方とは言えなかった

周りがどう思ってたかは知らないけど


俺は“面白いことを言う人”ではない

テレビの観すぎだってどうかわかって

でも情報源がそこしかないのが問題だ

一体どうすればいいんだろう


勉強の術がなかった

誰も教えてくれなかった

でも誤解や偏見は常に付きまとう

でも反論したくても言葉が出てこない


恋愛はうまくいくわけもなく

性欲の発散方法もわからなかった

仲間に、友達に出逢いたかった

でもどうすればいいのかわからなかった


話せていた分マシだったのかもしれない

恵まれていたのかも 助かっていたのかも

それでもどうしても“よかった”とは言いきれない

でも隠したままの方がよかったとも言いきれない


暴かれた上にバラされて

でも相手に悪意はなかったんだろう

ただ知識がなかっただけで

今なら教えられるけど


あの時、なぜあの言葉にあんなに絶望したのか、

わからなかった 絶望の理由がわからなかった

知識もなかったし情報も教養もなかったから

自分の感情を言葉で処理する力がなかったんだ


俺がゲイであることだけで避けられるのが哀しかった

そんなの俺のプロフィールの一つに過ぎないのに

俺が音楽好きなことも本が好きなことも

あるいは一緒にコンビニに出かけたことも

“ゲイである”ことだけでどうでもよくなるのが哀しかった

哀しかった


自分の在り方がよくわからなかった

どう振る舞えばいいのかわからなかった

誰を参考にすればいいのかわからなかった

“自分らしく”がよくわからなかった


でも今は

今なら


今なら言える ちゃんと言える

あの頃は言えなかった一つ一つが

長い宿題が解ける気がする

ちゃんと表せるだろう

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