蒼の獄
みんな変わってく
みんな大人になっていく
みんないなくなる
なのに俺は変わらない
俺だけがいつまで経っても変わらない
みんなはちゃんとしっかり成長してるのに
俺の時計だけはいつまでも止まったまま
大人になんかならなくたっていいのに
かつて友人だった人にある時ばったり会った時
向こうは俺にすぐ気づくのに
俺は名前を聞かなきゃ気づけない
まるでみんな整形手術したみたいに変わってる
俺だけが時の流れに追いついていけてない
君が何を考えているのか今の俺にはわからない
君が何を考えていたのかは今の俺にもわかるのに
––––思春期
どうして君が苦悩を克服できたのかわからない
どうやって君が苦悩を克服したのかわからない
どうして俺はいまだに苦悩しているのかわからない
かつては君も苦悩していたなんて今では信じられない
かつては君もあんなに世界とすれ違っていたっていうのに
今じゃ君がすれ違っているのは世界じゃなくて俺の方
君も世界の軋みそのものと化したのか
それともそもそも軋んでいるのは俺なのか
君が変わっていく 過去を思い出に変えていく
なのに俺は変わらない 記憶は生々しさを強めていく
でも俺の記憶力は出来が悪い
だってその割には良いことを覚えていない
同じ街に住んでいるからって
かつての同級生と頻繁に出会えるわけじゃない
かつての友達と頻繁に出会えるわけじゃない
年賀状が来る度に切なくなる
近況報告を聞く度に
俺は自分が出遅れたことを知るから
今年は年賀状が来なかった
それでいい それがいい
大切な君を、憎まないでいられるから
俺も君のようになれればいい
そしたらきっと傷つかずに済むのだろう
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