短編 狭い田舎のBL

倉住霜秋

第1話

ある田舎の物語。その土地の地主の息子である秀美君は、ある日突然いなくなってしまいました。秀美君は家族と友人と僕に向けて遺書を残していました。僕の遺書の中には、彼の学ランの第2ボタンが同封されていて、彼は手紙で「それは僕の心臓だ。」と言っていました。僕はそれを自分の学ランに着けました。秀美君はいなくなる前からこの町のことが好きじゃないと言っていました。だけど、彼はこの町の地主の息子なので、出ていくことは出来ません。彼は男の子が好きでした。そして、その好きな相手と言うのが、嬉しいことに僕だったのです。しかし、この町に生きている人間は思想も視野も狭く、その事で秀美君を苛めたのでした。彼は、この町から出られないことを悟ると、死んでしまうことを決意します。でも、ただ死ぬのは嫌なので、最も幸福な死にかたを考えました。そこで彼は、自分の一番好きな人に殺して欲しいと思いました。それが、僕だったのです。僕は彼のことを何よりも大切に思っていました。だから、彼の苦しんでいる姿を見るのは辛かったのです。そして、彼を一番楽な方法で殺すことにしました。僕は病院でもらった睡眠薬を大量に飲ませて彼を眠らせました。それはもう昏睡しているような状況です。そして、町の山の中にいって、底無し沼に彼を沈めたのです。僕はこの町が大嫌いですが、秀美君のことは大好きでした。彼の心臓は僕の学ランに付いています。そして、僕は自分の心臓をその沼に沈めたのでした。

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短編 狭い田舎のBL 倉住霜秋 @natumeyamato

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