自殺をするときはある種パニックのような状態であり、残された者の気持ちを考慮することはありません。しかし、自殺により人生から抜けることができれば心の平穏を手にすることができます。残された人間は、大切な人を失った苦しみと向き合い一生懸命生き続けなければなりません。気にするなと言われても、人は自分に原因がないか疑うものです。そんな苦しみへの答えのような小説でした。
要するに、人は苦しみと向き合って生きていくしかないのです。届くのかもわからない手紙を綴り続け、いつか返信が返ってくるのではないかって。いやそりゃ返ってくるわけない。わかってる。でもいつか返ってくるって。簡単に信じられたらいいけど心の奥底では返って来ないって知ってて。でも書くのをやめたら全てが終わってしまうような気がして。それが杞憂に終わって。お前の馬鹿長い手紙返す気にもならなかったって言われて。火を点けて、ゆっくりして。
夏の夜にぴったりの切ない話でした。
残された人たちが、彼らの死を受け入れて、しかし、前を向いて行くのが良かった。