第6話 八月七日
ゴゴゴゴゴゴッゴゴゴゴゴゴツゴゴゴゴゴ
今、僕は飛行機に乗っています。
それも真っ暗で何も見えない特等席です。
僕の代わりに入っていた弾薬や武器などは捨てました。
(くそ〜吉田さんが昨日出発の補給物資隊があるからそこに乗せて貰えばって言われたから隊の人に頼んだら【ガキは帰れ!!!】ってどやされたから仕方なく弾薬庫の中に入ってるけど、居心地わるすぎ!!!早くつかねぇかなぁ)
ゴッゴッガッっとだんだん揺れが小刻みになってきた。
(おっ、もうすぐ着陸か??)
小刻みな振動と共にさらにゴッと一つ大きな振動を感じた。
(ふう、やっと着陸したか。着いたわ良いがしかしこの後はどうしよう、、、いや!もうどうでも良い!着いちまえばこっちのもんだな!!)
ガタッ!!と大きな音を立てながら蓋をあける
『おわっっ!!なんだお前は!!あの時のガキじゃないか!』
俺のことを搭乗拒否した兵隊が驚きながら言った。
『何やってるんだ!死にたいのか!ここは今から戦場になるんだぞ!ここに来るものはみな少なからずまた命をかけているんだ!』
「よかった、まだ始まってないんだ」
『なにをいって、、、、』
突然巨大な爆発音と共に骨の髄まで響き渡るような衝撃波がはしった。
「くそ!言ってるそばから!!はやくいかないと!!」
「おじさんたち!悪いけど先行くね!!俺も一応命懸けでここにきたんだ!!まあ死ににきた訳じゃないけどね!」
『お前!ほんとに何しに!』
そう言って俺はそそくさと逃げるように宇宙船の方へと走っていった。
「きてみたは良いものの柚木のやつどこにいるんだ??もしかしてもう既に船内にいるとかじゃないよな!?だったらどうにもできないぞ!」
「くそっ!もう戦いが始まっちまってるし!どうする!とりあえず柚木の名前でも呼んでみるか」
「おーい!!柚木ーーー!!」
空の上は爆発音が鳴り響きとても人一人の声なんて聞こえるものではない。そんなことはわかっているが叫ぶのを止めることは出来なかった。
「おーーい!柚木ーーーーーー」
ドコンッ
今まででいちばんの爆音と衝撃波がひびく
「うわっ今のは近かったぞ」
反射的に空を見上げてみると戦闘機の破片でも宇宙船のかけらでもない何かが降ってきているのが見えた。
「人だ!あれは!!見つけた!!!」
そこからの記憶はプッツリと途絶えていた。
気づいたときには血まみれの手、擦りむいた膝、とにかく全身ボロボロの自分の腕に抱えた柚木の姿があった。
「柚木!!柚木!!!しっかりしろ!!大丈夫か!!」
『きょう、、、ちゃん??なんで??』
「お前を迎えにきたんだよ!!」
『そっか、さをりちゃん全部言っちゃったんだね』
「すまなかった!!すまなかった!!お前を信じてやらなくて!!」
『良いんだよ京ちゃん、私ね最後には信じてくれるって信じてたから、、」
「柚木、、」
「柚木!帰ろう!!お前を死なせたくないんだ!みんな!吉田やばあちゃんだって待ってるぞ!!」
そうだ、絶対に連れて帰らなければ
『ダメなの京ちゃん、私がやらないとみんなが死んじゃう。』
『それにね、もう大丈夫な気がするの、、私、やっぱり嘘つきかもしれない、、未来が見えるなんて嘘かもしれない、、』
『だって、今日この日、京ちゃんがここにいる未来なんて見えなかったもん!!』
『うん!だから絶対に平気!!私は未来なんて見えない!嘘!!!だから京ちゃん、、私の嘘を信じていてね』
そういって柚木は宇宙船の方へと飛び去っていってしまった。
「だめだ!だめだだめだ!柚木ぃすまなかった」
連れ戻さなかった、後悔の念だけが残り俺はただ立ち尽くすし、その背中を見つめるしかなかった。
柚木の背中を目で追いかけ続け見えなくなろうとしたその瞬間、大きな爆音と光に包まれた、その直後俺の意識はプッツリと切れた。
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