第3話 六月七日

俺たち人間はただ飯食ってクソして寝るだけの毎日なんだろうなー、っていうか今までもそうだったのかもなー


そんな、なんの生産性のないことも考えてしまう。


『京一郎ーーご飯よーー』


「母さん、今行くよー」


はあ、クソするための燃料でも補給するかー


大きなため息が漏れる。


「もう何もかもどうだっていい、一体どうしてこんなことになっちまったんだ、、、」




〜二ヶ月前〜


【本日、六月六日!!突如東京上空に現れた巨大なUFO!!!ただいまこちらから声明が届きました!その原文を今からそのままお伝えします!!


我々ハコノ星を気に入ッタ!!コノ星が欲シイ。今スグトハ言ワナイ、貴様ラノ時間デ言ウ二ヶ月後ニコノ星を頂キニ再ビコノ地に訪レル。大人シクシテイレバ楽ニ滅亡サセテヤル。


彼らがどうやって私たちの言語を理解したのかは私たちには理解不能ですが彼らが地球を滅ぼすほどの高度な知能を持っているのは確かなようです!!では!!現場からは以上です。】


突如現れたニュース、そんなこと誰も信じるはずがないだろう。


『何よこの馬鹿げたニュース、ここの放送局も終わりね。』


母さんもこのニュースには呆れていた


「なんだよこれ、ついにテレビまで柚木みたいになっちまいやがったのか、、」


僕はそのニュースを後に普通に登校した。


クラスへ着くともっぱらそのニュースの話題で持ちきりだった。


『おい、今朝のニュース見たか!?UFOだってよ!すげーじゃん!ウケるよな!あんなの信じるって方が馬鹿だって!!』


やっぱり、ほとんどの生徒はニュースを信じていないようだ。ある数人の生徒を除いて。


『あ、あれは、、、、ほ、本当の事だよ、、!!!』


普段あまり声を張らないような山本が突然声を荒げてそう言った。


『お前バカなんじゃあねえの?あんなのありえるわけねえだろ!?』


と嘲笑うように佐倉は言った。しかし、そういう彼の目は全く笑っていなかった。


そう、皆、俺や母さんを含め信じられないというよりかは信じたくないのだ。


安全だと疑うことなく普通に暮らし、なんの非日常も経験してこなかった俺たちにとってあのニュースは衝撃的過ぎた。


夕方7時にやっているくだらないオカルト番組で放送された訳ではなく、朝の7時から全てのテレビ局でわざわざそんな馬鹿げたことを放送するほどテレビも馬鹿じゃないとわかってはいるが認めたくないだけなのだ。


そんな張り詰めた空気の中、一人凛とした表情をした生徒がいた。


こんな馬鹿げた話題に1番に食いつきそうな女


平林柚木であった。


「あいつはどうしてあんなにおとなしいんだ」


人知れず不自然に思っていると、


『やっぱり、あんなの嘘だ!嘘に決まってる!!テレビ局全部が俺たちを騙そうとしたドッキリなんだよ!』


佐倉がそう言い放った。皆が困惑し、何も言い返せず静まり返ったその一瞬。


『私、あいつら倒してくるね!!』


平林柚木は確かにそう言った。


そして振り返らずに去っていった。

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