第11話 転落

二ターン目に入り、パーティーゲームも動きがみられてきた。



「っしゃ! アスタリスクコインゲット!」



僕はコイン二十枚と交換した。これで一歩リードしたことは明白だ。



残りは三マス。



「よし! あそこにしよう!」



僕はキャラクターのいるマスにとまった。



「コインを二十枚を奪います。ライバルを選んでください」



どうやら僕は、ライバルのうちの一人からコインを奪えるらしい。



「ラッキー! じゃあとりあえず、一番持ってる鳴宮で」



「はあ!? なんで私が奪われないといけないのよ! せっかく貯めたのに!」



「それは自分の運を呪うんだな。僕はルールに則って楽しんでるだけだから」



「……っく! あんた覚えてなさいよ!」



そんな睨むなよ。だってさ、たまたま止まっちゃっただけじゃん。



そしてそんな鳴宮のターンになった。



「あんた、次のターンまたあのコイン、取るのね」



「まあ、範囲内だからな。僕はこのゲームに勝ちに行く。手加減するつもりないからな」



「ええ、私も負けるのは嫌いなの。だから容赦はしませんわ。あなたのような下等生物に負ける気はないので」



「……最後の一言いるか?」



あいつの毒舌どうにかならないのか? ただメンタル削られるだけなんだけど……



僕は心に軽い傷を負いながら、ゲームの進行に身を任せていた。



それからターンが続いていき、半分の五ターンが経過した。



途中経過は次の通り。



一位 来栖好春 五アスタリスクコイン 五十六コイン


二位 鳴宮紫音 二アスタリスクコイン 二十六コイン


三位 月待しずく 二アスタリスクコイン 十二コイン


四位 遊馬柚月 一アスタリスクコイン 六十三コイン



遊馬、コイン貯めこみすぎだな。



客観的に見たら僕の優勝は確実だ。ここから僕は誰も寄せ付けない完全優勝を目指していくつもりだ。



六ターン目。遊馬、しずく、僕はアイテム購入マスやコイン獲得マスなどこれといったイベントもなく終わった。



「じゃあ次は私ね。えっと……六!」



鳴宮はサイコロの最大マスが出たが、スターを獲得できずに終わ……



「えっ、な、なに?」



「鳴宮、ラッキーじゃん!」



「えっ、えー…………!」



あれは隠しブロック。運が良ければアスタリスクコインが出てくることがある。思いがけないチャンスってやつだ



そして鳴宮は少し緊張した顔でブロックを叩いた。



「う、嘘!? アスタリスクコイン出たわ!」



「紫音ちゃん凄いよ~」



鳴宮はしずくの言葉に、まんざらでもないような顔をしていた。



あいつにも流れが来始めてるな……



とはいえ、まだ結構な差がある。

そんな焦る必要もないだろう。



そして七ターン目。因みにミニゲームは鳴宮来栖ペアが勝利。



このターンも遊馬としずくには特段変化はなく、僕のターンが回ってきた。



アスタリスクコインは八マス先だ。よし、アイテムを使おう。



「こいキノコ。これで出す目プラス2だ!」



これで獲得できるチャンスが出てきた。



そして、勢い十分で出した目は……



「なんだよ三かよ……しかもドクロマス!?」



僕は足取り重く五マスを進んだ。



「なははははっ! お前よく来たな! そのお前に褒美を渡そう」



「えっ! いいんですか?」



なんだ、ドクロマスだから罰を食らうと思ったら、ポジティブなパターンもあるんだ。



僕は安心感を覚えていると、ドクロの声はまだ続いているようで。



「ああ。お前がライバルたちにアスタリスクコインを分けてあげれば、お前の好感度は急上昇だな! はーははははは!」



「おい……まじかよ……!」



嘘だ……! 

僕のアスタリスクコインが三枚も持ってかれるのか?



そして僕の危惧通り、ドクロマスの魔人は笑いながらアスタリスクコインを3枚奪っていった。

そのまま僕のアスタリスクコインが離散し、三人に付与されてたのだった。



「終わった…………」



僕はポツリと呟いた。



さすがにあと三ターンでのターンでの巻き返しは無理だ。現在の順位は三位。アスタリスクコインは一位と二枚差。



いや、意外といけるのか?



「じゃあ次は私ね」



鳴宮の出目は六。そして止まったマスは、あのコイン略奪マス。



もちろん選んだのは僕。



なぜか、簡単だよ。だってコインの所持数は二位と約二十枚差。理由はおのずと見えてくるでしょ?



そしてその結果僕は見事に最下位となった。



しかし僕の悪夢は終わらなかった。



八ターン目、九ターン目と三人は二つずつアスタリスクコインを得た一方で、僕は二つのアスタリスクコインを失い、コインすらもゼロとなってしまった。



十ターン目、ようやく僕の番が回ってきた。



「よし最後、全員のアスタリスクコインをなくしてやる!」



僕を見る視線が痛かった。でもいいんだ! 一矢報いるためにも、三人を道ずれにしてやる!



気合十分に回したサイコロの目は二。



「ハルくん、何か残念だね……」



「なあしずく、その慰めは人を傷つけるんだよ……」



僕の最後はコイン搾取マスで終わった。



鳴宮はコインを三枚増やしターン終了。



そしてゲームは終わっていった。



「さあ、これから結果発表だぜ? 誰が一番になるのか楽しみだな!」



「おい、それは新手の辱めか?」



「それは、お前の運が悪かっただけだろ……」



やめてよ、正論言うの……

もう早く帰りたい……



「さあ、今回の栄えある一位は…………紫音さんでーす!」



「やったわー! あそこからの見事な逆転、これはニュースね!」



凄いどや顔。

あー、あの顔踏みつぶしてやりたい……!



「どう、来栖! 超えられた気分は」



「頼むからオーバーキルしないで……」



そのまま鳴宮はずっと笑っていた。どうやら勝てた事が相当嬉しかったようだ。

僕はというと、そんな鳴宮の様子を見ながら呆れていた。



それから、1人で立ち尽くしていると、しずくが隣に来て言った。



「お疲れ様~」



「しずくか……頼むから笑ってくれ……」



「笑わないよ~、だって君は頑張ったんだもん」



そう言いながら、頭を抱き寄せてきた。



「やっぱりなんか今日変だな」



「そう? いつもこんなんじゃない?」



「だって、いつもこんなことしないじゃないか」



「ん~、あんまり分からないかな~」



まあ、これ以上詮索しても意味ないか。とりあえず心配してくれてるみたいだし、お礼を言わないとな。



「そっか。まあ心配してくれてありがとね」



「ううん。それでさ現実に戻ったら、ご飯食べたいな~」



「もしかして今話しかけたのって……」



「うん〜! おなかすいたから!」



しずくの野郎、人を召使とでも思ってるのか? 



まいっか、何か落ち込んでるのも馬鹿らしくなってきたし。



「んじゃ、先に戻ってるな」



「うん~、また後で~」



僕は一足先に現実に戻り、奏真に買い物に行くことを伝えて夕飯の買い出しに出かけた。



「まったく、来栖は本当に鈍感なのね」



「そう、だね」



「あの男、しずくが気を使って馬鹿らしくなるようにしたのに! なんで気づかないのかしら!」



「それがハルくんなんだ。だって私があれだけちょっかいかけてるのに、全然気づいてくれないもん」



しずくは少し寂しげな顔で言った。



「じゃあ、いつもあれだけ無防備な姿でいるのも?」



「えっ、無防備? 私が? 別に普通なことしかしてないよ~?」



しずくの言葉に呆れて言葉が出ない鳴宮だった。



だから気づいてもらえないんでしょうがー!



鳴宮は心の中で叫ぶのだった。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


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