第6話 役割
突然だが、
僕としずくが共同生活を送る上でルールがある。
遡る事三ヶ月前、共同生活開始翌日。
「しずく、共同生活にはルールが必要だと思わないか?」
「ううん、やろうと思った人がやればいいと思うなぁ〜」
「それだったらお前やらないでしょ……」
「そんな事ないって、やる時はやるよ〜?」
また、しずくは調子いいこと言ってきた。
どうせ面倒臭いこと全部こっちに押し付ける気でしかないでしょ。
「それは、どれくらいやってくれるのかな?」
「週一回の洗い物とか?」
「すっくな! もっと頑張ってくれよ」
もしかするとしずくには期待しない方がいいのかもしれない。
もう少しくらい協力してくれてもいいのになぁ。
「まあ、とりあえず家事は僕がやるよ」
僕は諦めてそう宣言すると。
「ハルくん、私ももう少しやるよぉ〜?」
「おい、どっちなんだよ……」
まったく、本当に調子いいんだからさ。
言うことは統一してもらわないと、決め事ができなくなるでしょ。
「んで? 何やってくれるんだ?」
僕はそう聞くと、期待せずにしずくの答えを聞いた。
「ん〜、だらける事かなぁ〜」
「——本当に何なんだよ、お前」
「冗談冗談、洗濯と風呂掃除くらいは出来るよぉ〜」
「それを先に言えよ!」
コイツ、人が真剣にきめてるところ、心底楽しんでやがる!
もしかして、人をからかう事を生き甲斐にすらしているんじゃないか?
「まったく……とりあえず当番表はこんな感じで良いよな」
「うん、でも私の仕事量多くない?」
「文句言うな!」
ったく、それくらいやってくれ……
「とりあえず買い出し行ってくるからゆっくりしててよ」
「うん、今日はオムライスがいいなぁ〜」
「はいよ、決めてくれて助かるよ」
ああやって決めてくれるから、
ワガママも悪い事ばかりじゃない。
僕は勝手にそんな気がしていた。
そう思いながら買い物を済ませて帰宅した。
居間には変わらずにスマホをいじりながら寝っ転がるしずくの姿があった。
僕は買い物袋をそのまま台所に持って行くと、
しずくご希望の夕ご飯の支度に移った。
「出来たぞー」
僕は出来上がったばかりのオムライスをテーブルに運んだ。
「まさか本当に、ハルくんがオムライスを作れるとは……意外と料理できるんだね〜」
「何で上から目線なんだよ」
「いや、こういうのは幼馴染だったら私の仕事だからね〜」
まあ、漫画の中だったらそうだけど。
「でもさ、ワンピ○スとかコック男でしょ? なら良いじゃない?」
「ハルくん、簡単に他の漫画の名前出さないでよ……」
「あっ……」
僕は口を塞いだ。
「あれ、なんかハルくんキャラ変わって来てない?」
「うん? そうか?」
「うん、だって前まで私が基本的なボケだったからさぁ〜」
確かに僕がツッコむ事が多かったけど、
流れ的にしょうがないんじゃない?
「もしかして、私に染まってきたのかなぁ〜?」
「おまっ、何言ってんだよ……!」
しずくのやつ、
どんだけ僕をオモチャにすれば気が済むんだ。
「カッワイ〜、すぐそうやって顔赤くしちゃうんだからね〜」
「赤くなんかないし……」
まあ、この暑さは嘘だってすぐに見抜かれてしまうやつだな。
「ごちそうさまでした」
僕らは声を揃えて言った。
「なあ、皿洗い手伝ってくれないか?」
「え〜、面倒臭い」
「頼むよー」
僕が頼んだのには理由があった。
僕はこの後、
新作のゲームをやらなきゃいけないんだ!
だからこの時間をどれだけ節約できるかで、
今後の人生に関わってくるんだよ!
そう、このゲームが大きく僕の人生を変えるかもしれないんだ。
「しょうがないな〜、じゃあこれで勝ったらいいよ〜」
そう言ってしずくが取り出したのは、
普通のジェンガだった。
「——なぜにジェンガ?」
「これで、私の右に出る者がいないからなんだなぁ〜」
そこまで言うならやってやろうじゃないかよ!
「良いよ、初めて負けを見せてやるからな!」
「へ〜、やれるものならやってみなよ」
ふん、そんな余裕なのは今だけだぞ! 僕の分析能力がお前に負ける訳が無いだろうが!
そして組み合わせると、
戦いの火蓋が切って落とされた。
戦いの末……
「負けた……お前なんて強さだ……」
「これが私の実力なんだよぉ〜!」
しずくは勝ち誇ったように言った。
「でも、接戦だったのも事実だ!」
崩れるまでに10本以上ずつは抜いた。
どちらが倒れてもおかしくは無かったはずだ。
「ハルくん、本当に接戦だった思ってるのかなぁ〜?」
「そ、それは、どういう意味……」
「君、今日ゲーム買ってきたでしょ」
しずくの得意げな顔に磨きがかかる。
やっぱ、この顔ウザいな……
「ああ、それがどうしたんだよ」
「皿洗いが終われば自由時間が待ってる。でもそれが長引けばどうかなぁ〜?」
「お、お前、まさか……」
な、なんだと!?
お前、そんな事まで計算だと言うのか!?
「わざと時間が掛かるように計算してたんだよ〜!」
「——クッソー!!」
「引っかかった自分の愚かさを、後悔しなさいな」
コイツ、やりやがる……!!
それから僕は、
屈辱を噛み締めながら泡立ったスポンジで皿洗いをしていた。
「こんな事になるんなら、最初っから自分一人で皿洗いすれば良かった……」
「また、いつでも相手するよぉ〜?」
「ああ、待っててよ! ぜったい次こそは勝つからな!」
というか、
そんな少年漫画みたいに熱くなるような事なのか?
そんな心のツッコみも入ったが、
ここは何としても勝たなければならないのだ。
僕は謎な炎を燃やしながらそう思うのだった。
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