第2話「フォラスとフォカス」

「初めまして。貴女お名前は?」

「私はフォラス。こっちは弟のフォカスです。」

 主様の愛梨を見て説明するフォカスの兄、フォラス。

「そう。初めまして、私は櫻 愛梨と言います。よろしくね」

 フォカスとフォラスに気付いては、目線を合わせて話そうと、しゃがんで微笑みを浮かべ、話す愛梨えり

「彼らは?」

 立ち上がり、ベリトに問いかける愛梨えり

「はい、彼らは元、孤児こじでございます。私たちは、悪魔執事となる仲間を探す際、ブローチの力を借りて探しています。それが、私の胸につけているものですね」

「この赤いブローチね。」

 ベリトのブローチをまじまじと見る愛梨。

「でも、フォカスとフォラスにはまだついてないみたいだけれど」

「はい。それについてなのですが、私達はブローチのチカラで彼らを見つけることができましたが割れかかっていたのに気付いて修復しています。」

「割れてしまうことがあるのね。可哀想に。怪我はしていないのね?」

 フォラスとフォカス見ながらベリトと話す愛梨えり

「はい、大丈夫そうです。ですが、いつ悪魔化するかわかりませんので、魔除け石のブルーゴーストストーンを持たせています」

「そうなのね。このふたりの部屋は?」

「はい、こちらです。案内致します。アイムくん、少しここを頼みます」

「わかりました」

 アイムに執務室のことを頼み、フォカスとフォラスと主様を連れてフォカスとフォラスの部屋へと向かうベリト。

【2F執務室】

「此方になります。」

 ドアを開け、執務室へと愛梨を通すベリト。

「二人部屋...なのかしら?」

「そうですね。彼等が見つかった際、二人でいた事から、兄弟であろうと判断し、二人部屋にしていますが。何が起こるかわからないので、彼らより年配の執事が一人必ずついて、共にすることになります。その際の執事は私かですね」

「そうなのね。これからは、私も見回りに参加するね!」

「いえ、行けません。主様の手を煩わすようなこと...。」

「いいのよ?手伝わせて?ね?」

「主様、いっしょに寝てくれるの?」

「ごほん読んでー」

 愛梨の手を引っ張り、無邪気に部屋へと招き入れ、愛梨をベットに座らせる、フォカスとフォラス。

「えと...ベリトさん」

「あらあら...。フォラスくん、フォカスくん、"主様あるじさま"は"お母様"《おかあさま》ではありませんよ。本なら私が読んで差し上げますから、眠ってくださいね。」

 そう、フォラスとフォカスを諭すベリト。

「えーだってぇー...べつのせかいからくるあるじさまは、おかあさまみたいって...」

 泣きそうな顔してベリトに言うフォカス。

 そーだそーだ、とフォラス。

「何方から聞いたんでしょう。困りましたね...」

 うーんと困り果てるベリト。

「えー?えーっとねー…おしえてくれたのはー……アガレス」

「そうでしたか。確かに主様は優しい存在に変わりありませんが、ずっといっしょにいるのは控えましょうね?主様も疲れてしまいますよ?アロマを焚いてあげます。」

 ―待機中の愛梨とベリト―

 突然微笑む、愛梨。

「どうかしましたか?主様」

 気になり、愛梨に声を掛けるベリト。

「え?ううん。フォカスとフォラスはちゃんと指示を聞くいい子だなーって見てて思ったのよ。突然の指示なのに。しかも急に皆集められた訳でしょ?私もだけど」

「そうですね。あの2人は幼いから、純粋なのかも知れません。」

「そうなのね。でも、あんな小さい子供なのに、このお城に集められているのね。大変ね」

「まぁ、孤児院にいた子達ですからね」

「孤児院に?」

 待ちながら話す、ベリトと愛梨えり

「居たらしいですよ。彼等を連れてきた聖女にそう聞きました。」

「なるほど…。教会から連れて来てお世話していたのね?」

 ベリトから話を聞き、考える愛梨えり

「はい、左様で御座います。最初はここにいた聖女がここに来ていた子供の世話をし、私も色々しながらこの地へ巡って辿り着いた模様です。

 最初は服すらボロボロだったとか。」

「まぁ、可哀想に!フォカス!フォラス!」

 慈悲の心に刺さった愛梨は、フォカスとフォラスを呼び出した。

「お呼びですか…。」

 おずおずと出てくるフォカス。

「お姉ちゃんどうしたの?」

 思わずお姉ちゃんと愛梨えりのことを呼ぶフォカス。

「こら、フォラス。ダメじゃないか」

 幼いながらもフォカスを叱る、フォラス。

「嗚呼、良いのよ、良いのよ。此方においで。大変だったわね……。フォカスとフォラスは私とベリトで守るからね。戦うのはいいけど、少しでも怪我をしたら下がるのよ?いい?」

 愛梨えりに近付くフォカスとフォラスを抱き締める愛梨。

「「はい」」

 返事をするフォカスとフォラス。

「絶対にこの世界を、皆を守りましょうね。ベリト。」

「御意。」

「ねーねーねー!僕達のこと忘れてなーい?」

 いつの間にか皆に囲まれるベリトと愛梨えり

「え?」

 声のする方に振り返ると不貞腐れ気味の男子が2人。フォカスとフォラスだ。振り向いた瞬間に目が合うと落ち着くのか、ニコッと愛梨えりに微笑む2人。

「アイム、アガレス!忘れるわけ無いじゃない!」

 嬉しそうに話すと2人を抱き締める愛梨えり

「わわ、主様?」

「何焦ってんだ?お前」

 焦るフォカスと冷静なフォラス。

「ベリト、アイム。そして、皆、ありがとう。国民を助けてくれる為に修行とか、私の為に、お世話とか……その……してくれて。」

 ワーイワーイと駆け回るフォカスとフォラスを尻目にベリトとアガレスにお礼をいう愛梨えり

私達わたくしたちは、主様を御守りする身。当たり前のことをしているだけなのですよ?」

 微笑んでそう話すベリト。

「そーそー!そーですよ。だから気になさらないでくださいって、ヘヘッ!主様あるじさま!」

 笑ってそう話す、悪魔執事兼料理長のザガン。

「そしたら皆でお茶会をしましょう?今なら天使の襲来のないし、ね?ベリト。」

「そう…ですね。襲来されるようでしたら、退避の合図を致しますので、私が主様ととフォカスとフォラスを。アイムスをアガレスが連れてくれば宜しいかと。」

「3対1じゃ…大変じゃないの?ベリトが」

「いえいえ。大人くらい体が大きければ問題ですが、子供くらいの大きさなので......。私の言うことは聞きますし。それに......」

「それに……?」

「いえ、いうことを聞いて動かないと危ないのは彼らの方かと思いまして......。」

「そう?」

 ベリトの話に少々不安気味な愛梨。

「ええ、何せ......!?伏せてください!!」

 慌てて愛梨を抱き締め、そう命令するアガレス。

「「「ハイッ!!!」」」

 アガレスの命令を聞いて、屈むフォカス・フォラス・アイム・ベリトの4人。

















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