第6歩・第7歩 公園で楽しそうに遊ぶ子供の声は心地いい

《6日目》


 太陽の光が窓から差し込み、その眩しさと少しの蒸し暑さで目を覚ます。

 4月と言っても最近は暑い。


 昨日、夜遅くまでアニメを観ていてまだ寝足りない感が半端ない。

 ゆっくりと重い体と瞼を開けて、スマホで時間を確認する。


【12:48】


 あー…………寝過ぎた。



 昨日朝の4時まで起きてたから寝過ぎたと言うこともないのだろうけど。

 4時まで起きてたならそのままオールすれば良かった。


 2日しかない大切な休日の1日目の半分が既に終わってしまった。



「はぁ……」勿体ない事したなとため息をつき、背伸びをして起床。










 さて、今日は特に何をするとか予定も無いのでいつも通りヲタ活かな。




 ソファーに寝っ転がりダラダラと漫画やライトノベル、アニメを見てお腹が空いたら適当に食べる。

 そうしている内に日付は変わり日曜日に突入。



《7日目》


 げ、今日で休み終わりか……。日曜って文字を見るだけでも気分が落ち込む。

 今日1日俺は何をしていた? 特に何もせずにダラダラと過ごしていた。何も成していない。

 楽しいけれど、このままでいいのか? 充実しているのに、何かが足りない。心に穴が空いた様なこの虚無感。


 1日中家の中にいて、太陽の光を身体に浴びていないからかマイナス思考に陥ってしまった。


 明日も特に用事はないけど、外を適当にぶらついてみようと思い、就寝。








【8:14】


 日付が変わってからすぐ寝たからか、休日の俺にしては随分と早起きだ。

 凝り固まった身体を伸びをして、脱力。


 はぁ、動きたくないなと思いつつも勢いをつけて起き上がり朝の諸々や外に出る準備も終わる。







 太陽の光が降り注ぐのを体全身で感じながら空気を思いっきり吸い込んで深呼吸。


「はぁ……」


 たまにはこういうのもいいなと思い、近くの公園に歩みを進める。

 鳥の鳴き声や休日ならではの家の中から子供のはしゃぐ声が聞こえてくる。


「平和だなぁ……」


 ほっこりとした穏やかな気持ちになりながらのんびり、ゆっくりと歩く。


 人、1人1人にこんな感じの生活があって同じ時間を過ごして。けれどしている事はそれぞれ違って……。面白いなぁ。


 自分も大勢の中のたった1人に過ぎない。そう思うと未だに学校で話せる人が村田さんしかいない事や、友達ができない事、将来の事なんかがどうでもよく感じる。


 今そんな事を考えてもどうにもならないし、なるようになる。その時の自分がどうにかしてくれる。



 公園につき、ベンチに腰を掛け足を休める。

 子供達が元気よく遊具や砂場、追いかけっこをして遊んでいる。

 まだ声変わりをしていない甲高い声、はしゃぐ声が心地いい。


 近年はこの声をうるさいからと注意してくる大人達がいるらしい。

 この元気な声こそ、平和の象徴なのに。


 公園でボール遊びをするなと言われ、声を注意され、じゃあ家とかでゲームしようってなる。

 そうすると、今度は最近の子供は外で遊ばないなんて言われ。

 理不尽過ぎるよね。じゃあどうしろってんだよねぇ!?


 そもそも公園の近くに住み始めたのはてめぇだろうがってな。うるさいと思ったとしても子供の声ぐらい我慢しろや。

 お前らもガギの頃は同じだっただろ。


 はぁ全く……。


 1人胸中でイラついてしまった。落ち着かせるために深呼吸をして空を見上げる。



 でもだからと言って道路とかで遊ぶのはマジで辞めて欲しい。危ないしさ。ボール玄関とかに当たるし車とかにも当ててくるし、勝手に敷地入ってくるし。そういう子達の親は一体どうなってんのやら。



 未来ある若者の可能性を潰してるのは、大人なんだよなぁ……。




 いつもはこんな事考えないのに、そもそも子供なんてそんなに好きでもなかったはずだ。

 なのにこんな感情を抱くなんて俺らしくないな。

 こんなに優しかったっけ? 気の所為か。



 ま、今は自分の事を頑張らないとなぁ。




 腕を組み、目を閉じ今後の目標を思案する。

 当面の目標は村田さん以外の人とも喋れるようになって、友達を作る事……かな。


 その為には――



 その後も色々考えはした物の中々いい案は思いつかず、流石に暑くなってきたので家に帰った。





 今出来ることを考えると、村田さんとの交流を深めるくらいしかない。

 メッセージを送る事にした。


 さて、なんて送ろうか。全く分からない。特に何も用が無いのにメッセージしても大丈夫だろうか。


 メッセージアプリを起動し、村田さんのトーク画面を開く。


 こういうのは勢いが大事。思い立ったらすぐ行動しないと気が変わって、やっぱりまた今度でいいやってどんどんと先延ばしにしてしまう。


 自分【今何してますか?】


 送ってしまった……。もっとマシなの思いつかなかったのかって自分でも思うけど後でリカバリーすれば大丈夫。うん、きっと大丈夫。



 そんなすぐには返信来ないだろうと思いほっと一息つこうとするとピコンっとスマホから通知音が鳴った。


 通知画面を見ると村田さんからのメッセージ。


「えっ、はや」


 村田さんも丁度暇でスマホを触っていたのかなと思い、なんて返信が来たのかを見に行く。


 村田【友達と遊んでる】


 と、と、と、と…………と、友達!? いや待て冷静になれ。そう、村田さんは俺とは違う。既に遊ぶ程の仲になっている友達がいてもおかしくない。



 自分【クラスの人?】


 村田【いや、中学の時の友達】


 自分【あ、そうなんだ】


 村田【高校どう?って話とかしてる】


 自分【なるほど】


 村田【あ、ごめん友達が呼んでるからいくね】


 自分【わかった】





 おぉぉぉぉぉ、話せたぁ!!!! 意外とスラスラと話せた事に喜ぶ俺。

 けどメッセージで話し過ぎると学校で話す事が無くなったり話しずらくなるから注意だぞ俺。



 あー、俺も中学の頃の友達と出掛ければ良かった。1人しか居ないけど。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る