第37話 甘神と……
2人きりになった俺と甘神はなんとなく気まずい空気を感じながらとりあえずカードキーを通して部屋に入る。
互いにベッドに座って虚空を見つめた。
このままの空気ではまずいと思い、俺は意を決してさっきのことを聞いてみることにした。
「ホテルデートの最後って、何だったんだ?」
チャップマンの170キロ並みにどストレートな質問。
しかし我ながらこれはいいカウンターだ。いつも揶揄われてる分、甘神が何を企んでいたか暴いてやる。
甘神はマフラーをたたみながら、横目でこちらを見る。
「なんだったと思う?」
「……え?」
おいおい、ブラッディクロスみたいなカウンター返しが来たんだが。
「えーっと」
返答に困る。
「いかがわしいこと」なんて答えたら甘神にイジり倒されるに決まってる。
でもあのフェロモンが溢れ出たような顔からしてそういうことなんじゃないのか?
……と、とにかく聞いてみるしかない。
「例えば……ちょっとエロいこと、とか?」
「は?」
「え?」
「天野くんがそういうことをしたいなら、考えてあげてもいいのだけれど?」
「ち、違う!」
これじゃ俺がエロいことしか考えてないみたいじゃないか。
たしかに一人で盛り上がってたのは俺の方だが……。ってか、考えてくれんの⁈
「もしかして天野くん、私と」
「ちげぇーからっ!」
「ふふっ、誤解させたならごめんなさい。この時間になると一層寒くなるし、部屋でまったりしたいと思っただけよ」
俺の一人相撲だったわけか……。
「でも……本気で天野くんがシたいなら、今からそっちに行ってあげてもいいわよ」
「くっっ! か、揶揄うのやめろっ」
甘神は小さく笑う。
「天野くん、そろそろ鈴木さんの部屋に行きましょうか」
「そ、そうだな」
恥ずかしさで身体中が熱くなり、無駄に疲れちまった。
結局甘神に揶揄われるんなら、下手なこと言うんじゃなかった。
「私は少しお手洗いに行ってから向かうから先に行ってもらえるかしら」
「おう、じゃあカードキーはテーブルに置いておくから」
俺はカードキーをテーブルに置いて部屋を出た。
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