第67話 三角と七頭

「テトの世界はちょっと特殊なんですよお」


「え? そうなの?」


「私も初めてきましたけれど」

「ぼくも初めて来たよお」


「アウもカーリーも自分の世界があるんだろ? 何が違うの?」


「ほほほーい。先ほどカーリーも申しましたが、私の世界は森と湖の世界、カーリーの世界はジャングル。私たち七頭はそれぞれの世界を持ってるんですよお。でもここはいろんな世界が混ざってる感じがしますねえ」


「混ざってる?」


「ええ、そうですねえ。なんというかこう」

「ぐっちゃぐちゃあ! ぐっちゃぐちゃあ」


「そう! ぐちゃぐちゃなんですよお。ってなんでカーリーが?」

「ああ、ごめん。それ俺が教えちゃった」


「そうですかあ。まあいいんですけれども。もしかするとニシハタさんはカーリーと同化するかもしれないですねえ」


「ん? またわかんない言葉が出てきたぞ。同化? ってなに?」


「同化は同化ですよお! まあ私も同化したことがないのでなんとも言えませんがねえ。これまで同化した人の話を聞くと七頭の誰かと目が繋がり、意識も繋がるんだそうですよお。一体どんな感じなんでしょうねえ?」


「つながる?」


「ま、どうすれば同化するのかもわからないんですけれどもねえ」


「そうなんだ、カーリー、タイチとはつながらなかったのかい?」

「うん、今までと変わらなかったよ? みーんな途中で帰っちゃうの」


「途中で帰るとどうなるんだい?」

「わかんなーい。そこはぼくのお仕事じゃないもん」

「カーリーに聞いても分からないですよお。ゲームの途中で棄権された場合は皆さんお帰りになりますねえ。帰った後の事は私たちにはわかりかねます」


「そう、だよねえ」

「ニシハタさん、そんなに心配しなくてもいいですよお。すぐに同化できるわけでもないですしねえ」


「そうか、そうだよね。でも気になるなあ。同化ってすごいじゃん?」


「そうですねえ。ゲームのルールが変わるまでこんなことは起こらなかったんですけれどもねえ」


「ルールが変わってそうなったんだ。今まではどんなルールだったの?」

「これまでの私たちの仕事はゲームのはじまりと終わりのホルンがお仕事だったんですよお。それが三角の皆様からのお達しでクラが伝えてきたんですよお」


「クラ?」


「ああ、今回行方不明になっている七頭の一人ですねえ。ちょうどその先に行った所がクラの世界に似ていますね? まあ、森も海も山も川も、どこにでもある風景ですからねえ」


「三角はこの世界の支配者ですよお。三角がこの世界のマスターであり、我々七頭を使役しているのです。私たちは三角に逆らえないんですよお」

「へー、なんかよくわからないけど、偉い人なんだ」


「そうですねえ。三角は我々にとって神に等しい存在ですよお」

「神様かあ。俺は会ったことないけど、どんな人なんだろう?」


「さあ、三角は姿を見せることはありませんからねえ。七頭でもクラしか会ったことはありませんから。でも私たちがこうして存在しているのも三角のおかげですよお」

「そうなんだ。会ってみたいなあ」


「ニシハタさんはお会いになりたいのですかあ?」

「そりゃあ、会えるものならね」


「ではやはり、ゴールの教会を目指すしかありませんねえ。そこに行けば会えるかもしれませんよお」


「うん、わかった。ありがとう。ところでさ、ちょっと聞きたいんだけど」


「ほほほーい、なんですかあ?」

「七頭って七人いるんだよね? 三人行方不明って言ってたけど、アウとカーリー、あとの二人は今どこにいるんだ?」


「ほほほーい、一人はこの世界の頭、テトですからこの世界の中のどこかにいると思いますよお。もう一人はネロ。前のゲームでせっかく同化したのに協力していた方が自ら帰られてしまいましてねえ、ゴール出来なかったんですよお。で、それからネロは変わってしまいましてねえ、休養中なんですよお」


「そうなんだ。じゃあ七頭ってのは、アウ、カーリー、テト、クラ、ネロ、で、行方不明の二人ってことか」


「そうですよお! よく覚えられましたねえ、ニシハタさんすごい!」

「ねえねえ、ニシハタ。あとの二人はウスとテペだよ」


「そっか、教えてくれてありがとな、カーリー」

「うん、いいよお!」


「ニシハタさん、もうすぐですよお」

「おお! ホントだ!」


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