第66話 ぬいぐるみたち
それにしてもなんなんだ、ここ。
統一感がまるでない。遠くに山や湖、森も見えるけどそのすぐ横に砂漠があったりそうかと思うとビルが立ち並んでいたり、中世の西洋風な街並みも見える。
「こりゃあ夢とはいえぐっちゃぐちゃだな」
「ねえねえ、なにがぐっちゃぐちゃなの?」
「おわあ! びっくりしたあ! カーリーか」
「うん。ねえねえ、なにがぐっちゃぐちゃなの?」
「いや、景色がね。いろいろあってすごいなあって思ったんだよ」
「うーん、ニシハタはこんなけしきが好きなの?」
「どうかなあ? 他の景色を見てないからなんとも言えないけど」
「ぼくの世界はねえ、ジャングルなの! すっごい森の中なんだよ!」
「そっかあ、カーリーの世界もすごいんだなあ」
「うん! ぐっちゃぐちゃあ!」
「え?」
「すごいところを言うんでしょ? ぐっちゃぐちゃあって」
「ああ、そうだな。ぐっちゃぐちゃあだな」
「うん! ぐっちゃぐちゃあ! ぐっちゃぐちゃあ」
カーリーは楽しそうにカーリーは楽しそうに笑っている。
なんていうかこの子は無邪気というか素直な感じがするな。
一連の事件とスリプカアポが本当に関係するなら被害者に繋がるなにかが見つかるかもしれない。できるだけアウとカーリーから情報を引き出そう。
「よしっ! じゃあカーリー、とりあえず教会をめざすんだっけ? どっちに向かえばいいのかな?」
「えへへ。ぼくは答えを言っちゃいけないの、だけど答えの近くは言ってもいいの。タイチの時に習ったんだあ。えっとねえ、あっちのほう!」
「ありがとな、カーリー」
「ほほほーい! カーリー! それは答えじゃないのさあ! まあいいわ。ニシハタさん、とりあえずカーリーの指した方へ行ってみますかあ?」
「いや、アウ。ちょっと待ってくれ」
「ほほほーい、なんでしょう? ニシハタさん」
「まず確認したいことがあるんだ。答えられる範囲で教えて欲しい」
「なんなりとお!」
「この世界は<スリプカアポ>の世界で間違いないか?」
「それは私たちにはよくわからないんですよお。私たちは三角の命で動いているだけですからねえ」
「三角? 私たち?」
「ええ、私たちの上位の存在が三角。私たちは七頭と呼ばれておりますよ。まあすでに七頭ではなくなっておりますが」
「ん? ちょっとそこ詳しく聞きたいんだけど」
「ご説明してもご理解いただけるかどうか。我々七頭はその名の通り七人の頭でしたが、今回ゲームのルール変更により、すでに三人の頭が行方不明になっておりますのですよお」
「そうなんだ。行方不明か」
「そうなんですよお。まあそのうち帰ってきたりするんでしょうけどねえ」
「そういうものなの?」
「はい! そういうものなんですよお。でないと七頭にならないじゃないですかあ」
「う、うん? ちょっとわかんないけど」
「ねえねえ、ニシハタもわかんないの? ぼくもお!」
「ですのでそのあたりのことはゴールいただいて三角と話していただく方が良いのではないかと思うんですよお!」
「なるほど。どのみちゴールの教会を目指すしかないってことか」
「その通りでございますよお!」
ここで話していてもよくわからん。
考えても仕方がない。今はとにかく行動しよう。
ニシハタはカーリーとアウの指示通りに歩き出す。
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