第62話 ウスとクラと(テト)
「おかしいと思いませんか? あなたが協力している、えっと、どなたでしたか、ああ、そうそうトモコさん。トモコさんの意識を感じますか?」
「いや、ここに来てからは感じねえ」
「やはりそうですかあ! いえね、ネロさんはせっかく同期したのに協力していた方が自ら帰ることを選択されたんですよ! そんなこともあるのですね」
「だからなんだ?」
「はて、ですからトモコさんも自らの意志で帰ることもあるのではないかと思いましてね」
「そんなはずはない。トモコは俺とゴールを目指す」
「ああ、そういえばテペさんが協力していた方もどうやらお帰りになったみたいですよ。そしてテペさんも行方知れず。もしかするとその方の世界に行ってしまわれたのかもしれませんねえ」
「まてクラ。お前、何を知っている?」
「私はいままでに起こったことを繋ぎ合わせているだけですよお」
「そして今、あなたの世界で起こっていることも想像する事が出来ます」
「なんなんだ?! おい、クラ! どうなってんだ? 説明しろ!」
「ええ、ええ、そうですとも。あなたもトモコさんを助けたいとお考えでしょう? まあもう手遅れでしょうけれども。さあ、お行きなさい。トモコさんは火山の噴火に巻き込まれ、もうすぐ死んでしまいますよ」
「ってめえ! くそっ! 戻ったらどういう事か七頭で確認させてもらうからな!!」
そう言うと急いで元の世界に戻る。
▲ ▽ ▲ ▽ ▲ ▽
「ふむ。これでウスさんはお終いですね。ああ、テトさん。そんなところに隠れていないで、さあさあ、出てきてください。ただし、今のは他言無用に願いますよ。あっはははは。でもまあキメラのあなたには口がいくつも付いているのに、話しているところなど見たこともありませんけれどねえ」
「……」
「いいんですよお、ウスさんのことはこれでお終いです。さて、三角の皆様にどのようにご説明申し上げますかねえ」
(クラよ。お前はやりすぎた)
「ん? なんですって? おや? 今のはもしかしてテトさんですかあ?」
(なぜこのような事を?)
「あらあ、口はいくつもあるのに直接は話さないんですねえ」
(なぜだ? こたえろ!)
「さっきウスさんに言った通りですよお。仕方ないじゃなないですかあ、みんな私よりも先に教会にゴールしそうだったんですからあ。これまで私がまもってきたものがなくなってしまうじゃあないですか」
(三角はお怒りだ)
「え?」
(三角の皆様は今回のお前の行き過ぎた行動に罰を決められた)
「はぁ? なぜあなたが? ま、まさか?!」
(なぜ私がこのような姿をしているのだと思っているのだ)
「え? それは? いったい??」
テトの一つの頭、ライオンの頭が吠える。
グルオオオオ!!
ライオンの口が大きく開き咆哮とともに白い光がクラに向かって放たれる。
「そ、そんな! ばかな! あなたが?! いやです! やめてください!
いやあ!! いやです……」
白い光に包まれたクラはそのままライオンの口に吸い込まれた。
するとテトの身体の一部が盛り上がり背中の部分から太陽の一部が現れる。
「私がキメラなのはお前たちを処分してきたからなのだよ、クラ」
テトは暗闇の中に消えていく。
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