第47話 ここからが始まり
「テペ隊長」
「なんだ?」
「あの、これから敵拠点を抜けるんですよね?」
「ああ。その通りだ。あそこを抜けなければ教会にはいけない」
テペ隊長が指差したのは、森の奥に見える山々。
あそこまで行くってこと?
無理でしょ?
そもそもあそこにどうやっていくのよ?
どう考えても、ここから見ただけでもヤバそうな雰囲気じゃん。
というか私はテペ隊長の馬のぬいぐるみに一緒に乗っている。
他はなんだかみんなかっこいいのに私はぬいぐるみにつかまっててなんだか恥ずかしい。
「あの、私、馬に乗ったことがないんですけど」
「大丈夫だ、私にしっかりとつかまっていろ」
「はい」
そうは言っても怖いものは怖い。
「キミヨ、怖がることは無い」
そんな会話をしているうちに、敵の砦が見えてきた。
「あの、今私の考えていることが?」
「同化とは違う。キミヨの動きや表情を見れば誰にでもわかる事だ」
「ああ、そうですか」
「キミヨは何か変化はあるか?」
「いえ、特に何もありません」
「そうか」
短い会話の中にも、敵拠点が近づくにつれ緊張感が高まっていく。
騎兵第一大隊は陣形を組み敵拠点に向かい突き進んでいく。
テペ隊長が合図をすると、前に二人の騎兵が突き進む。
「あれが強者だ」
「あの二人が?」
「ああ、そうだ。彼らは二人で数千機分の働きをする」
「すご」
「だが、油断はできない。向こうにも強者が現れたという情報が入っている」
「マジですか」
「ふっ、大丈夫だ。私たちが負けることはない。それに、いざとなれば私がキミヨを守ってやるから安心しろ」
「はい」
ドーーン!!
辺りに黒い煙を上げる。
「きゃぁ!」
爆発音が響き渡る。
「始まったか」
「え? なんです? 今の?」
「大砲だよ。まだ撃ってくるとはな」
すると敵の黒い影が迫って来る。
黒い影はこちらの強者に向かい大きな刀のようなものを振り上げている。
危ないと思った瞬間、テペ隊長は手綱を引き馬を反転させ攻撃を避ける。
そして、そのまま敵に向かって突撃していく。
ドガーン!
ドーン!
敵の攻撃が当たるたびに爆音と爆風が吹き荒れ、土埃が舞う。
すごい戦い。
テペ隊長は馬に乗りながら剣を抜き、敵を切り刻んでいく。
凄まじい戦いぶりだった。
こんなの人間の戦い方じゃないでしょ。
まあぬいぐるみなんだけれど。
そう思ってしまうほどに、テペ隊長の強さは圧倒的だった。
「キミヨ、しっかり掴まれ」
「はい」
テペ隊長は馬を走らせながら次々と敵を斬り倒していく。
すごい。
私はただ、その光景に圧倒された。
この人について行けば間違いないと確信できるくらいに。
「キミヨ、あそこを見てみろ」
テペ隊長が指さす方向には、白い塔のような建物があった。
「あれが教会です?」
「そうだ。だが、ここでキミヨに話さなければならないことがある」
「は、はい。なんでしょう?」
「今から、ゲームが始まる」
「え?」
「ここからが始まりだ」
そういうとテペ隊長の背中から天使の羽が生え浮かび上がり、肩から下げていたホルンを吹き鳴らす。
フォーーーーーン!
フォーーーーーン!
「さあ! ゲームのはじまりだ! 参加者よ、生きのこれ!」
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