第45話 テペ隊長帰還
「ん? どうしたんだ、もう起きてきたのかキミヨ」
私が一人で座っていたものだから不思議そうな顔をしている。
「いえ、なんでもありません」
慌てて笑顔を作って答える。
「そうか。それじゃ飯を食ったら作戦開始だ」
「やっぱりあの戦場を抜けないとなんですか?」
二人並んで食事を摂る。
「ああ、そうだな」
「テペ隊長、あの絵なんですけど」
「あれか。俺も子供の頃に一度見たことがあるだけだが、まあ、昔の戦争を描いた絵だろうな」
「ですよねえ」
「どうかしたのか?」
「あ、いえ、別に大したことじゃないんですけど、あそこに私に似てる人が書かれているので」
「ん? そうか、なるほど。やはりお前は選ばれてここに来たようだ。三角も面白い趣向を考えるものだ」
「さんかく?」
「ああ、我らの上位の存在だな」
「我ら?」
「ふん、我らは七頭。その上位の存在が三角だ」
「隊長が七人いるってことですか?」
「まあ、そうだな。我らは三角の命により七人を教会まで案内することとなっている」
「よくわからないんですけど、それはスリプカアポのイベントかなにかですか?」
「キミヨのいうことの方が分からんが。スプカアポとはなんだ?」
「ああそうだ! そうだった!! テペ隊長! 私、起きなきゃいけないんです! ヤバいんです。このままだと死んじゃうかもしれません!」
「落ち着けキミヨ。何を言っているのだ?」
「あの、私。現実の世界で眠らされてここに連れて来られたんです!」
「言っている意味がよく分からんが。お前は無理やりここに連れて来られたのか?」
「無理やりって言うか誘われてっていうか。でも私、きたくてここに来たわけじゃないんです!」
「ふむ。まあ帰ることはできるがな」
「ほんとうですか?! 私、すぐにでも帰りたいんですけど」
「しかし、だ。帰ったところでキミヨがどうなっているのかはわからんぞ」
「え? なにそれ? どういう意味です?」
「これまでもこの世界には多くの人がやって来た。そして今まで全ての者が途中で帰っている。もちろん戦争であるからな。戦死は致し方あるまい」
「ちょっと待って。今までもいっぱい人が来ていっぱい死んでるの? え? 死んだらどうなんの?」
「それは我らのは解らぬ。しかしだ。お前の言う現実世界とここが繋がっているのならここで死ねばその現実の世界でも無事ではいられまいな」
「なにそれ……」
異常さに寒気がする。
私は、私はこっちでもあっちでも死んでしまうってこと?
なにこれ?
どうなってんの?
助けて
助けて!
助けて!!
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