第8話 サバイバル
「なあカーリー。今のみんなって?」
「ん? みんなはみんなだよ」
「そうか、えーっとみんなはいっぱいいるの?」
「うん、いっぱいいるよ! えーっとね、アウでしょ、ティでしょ、クラでしょ」
「ああ、うん。いっぱいな」
「うん!」
「で、そのみんなはどこにいるんだ?」
「うーんとね、みんなそれぞれ。みんなおてつだいをしてるんだよ」
「お手伝い? ああ、カーリーが俺のとこにいるみたいにってことか。そっか、じゃあこのジャングルの中には他の人もいるってことか」
「ううん。ぼくの世界にはタイチしかいないよ」
「ん? またわかんなくなったぞ。僕の世界には俺しかいない?」
「うん! そうだよ! この世界にはぼくとタイチだけ。アウやティの世界にはアウの人やティの人がいるの!」
さっぱりわからんが、まあ、夢の世界に他人が現れてもな、そういうものなのかもしれない。
「そっか。じゃあカーリー。俺はこれからゴールの教会を目指せばいいんだな?」
「うん! そうだよ!」
「よし、んじゃあその教会ってのはどこにあるんだ?」
「んー? あっちかなあ?」
「え? わかんないの?」
「だってここがどこなのかわかんないんだもん!」
「え? さっきお空に飛んだだろ? 飛んで確認すればいいんじゃないか?」
「もう飛べないのー!」
「あそお」
どうすればいいんだろう?
「あ! そうだ、タイチにプレゼントがあるの!」
「え? プレゼント?」
「うん! これはあげてもいいやつなの!」
カーリーの目の前の空間が黒く光り中から白い袋が現れ地面にドサリと落ちる。
袋を確認すると中には、パンが二つ、ペットボトルの水が一本。そして、サバイバルナイフが一本。
まじか、サバイバル。
「なあカーリー」
「ん? なあにい?」
「これってさ、この袋の中身で生き残れってことなのかな?」
「うーん、わかんなーい」
「そっかあ、わかんないかあ」
「うん! ねえねえタイチ。タイチはどっちにいったらいいとおもう?」
「え? 俺に聞くの? どうだろうなあ、まあ、少なくてもいままで歩いてきたとこに教会みたいなものはなかったからな。このまま進むしかないんじゃないかな? 地図とかは、ないよなあ」
「ちず? ちずってなあに?」
「そうだよなあ。ま、ここにいても仕方ないし、とりあえず歩いてみるか」
「うん! おさんぽおさんぽ!!」
「あははは、カーリーはお散歩が好きなのかい?」
「うん! おさんぽ楽しいよね! いろんな虫さんや動物さんと会えるもんね!」
「そっかあ。虫さんや動物さんかあ。食べられないようにしないとな」
「うん! 気をつけないとタイチは食べられちゃうかもだもんね!」
「え? マジで?」
こうして、俺とカーリーの夢の中の旅が始まった。
まだこの時は、本当のサバイバルが始まるなんて思ってもみなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます