第二の夢
第7話 おサルの天使?
なんで密林の中にいるんだ?
森でもないわ、密林だわ。
ジャングルだ、もちろん実際には行ったことないけど。
意識を取り戻して最初に思ったことがこれだ。
まてまて。
しっかりと思い出してみよう。
えーっと、確か仕事が終わって帰ったら〈スリプカアポ〉という名前の流行りの睡眠管理アプリのヘッドセットが届いていて。
あー、そうだ。嬉しくてすぐに飯食って風呂入って早めにベッドにダイブしたんだ!
ってことはここは〈スリプカアポ〉の世界の中って事か。
なるほどなあ、すごい技術だな。
どうなってんだろ?
ヘッドセット付けて寝ただけでこの空間を夢で再現できるって。
まあ門外漢の僕は技術的な話を聞いたところで理解できるとは思えないけどさ。
ま、とりあえずアプリ内の夢の中ってことは自由に動き回れるはずだよね。
しっかしすごいな、行ったこともない夢の世界なのにこんなリアルにジャングルを感じることができるとか。
ってかなんでこれで睡眠が管理出来て良眠に繋がるんだ?
ま、あんまり深く考えず。
とりあえず楽しむことが大切だよね。
せっかく手に入れたヘッドセットだ。
しばらくジャングルを歩いていると遠くから鳥の鳴き声が聞こえたり何かの動物の鳴き声のようなものが聞こえてきたりするけど、大丈夫なのかな?
ま、アプリだし。歩き疲れたころに小屋とかボートとか出てくんだろうな。
そう思ってジャングルを歩き続けてずいぶん経つ。
そろそろ心配になってきたぞ。
大丈夫なのか?
<ねえねえ、この世界、楽しめた?>
「え? おサル? のぬいぐるみ??」
茶色いおサルのぬいぐるみ。目は緑のボタンと片目には茶色の宝石が埋め込まれているようだ。口は茶色い糸で縫い付けられている。
どうやって喋ってんだ?
あれ?
背中に天使の羽根、頭には輪っかがついてる。
「ねえねえ、楽しい? ねえねえ、楽しい?」
「あ、ああ。そうだな、まあ楽しんでるかな。君が登場して世界観ぶち壊しだけどこれは夢なんだって実感できたわ」
「んー? そっかあ。よかったあ! ねえねえ、じゃあはじめてもいいかな?」
「ん? 何を?」
「ねえねえ、いいよね? はじめても」
「よくわかんないけど、えーっとおサル君、俺はタイチ。君の名前は?」
「ああ、ごめんなさい。ぽくのなまえはカーリー。これからあなたといっしょにゴールの教会をめざします! ほっ。よかった、ちゃんと言えたよ。ねえねえ、ちゃんといえたよね?」
「ん? ああ、ちゃんと? 言えたんじゃないかな? で? ゴール? 教会?」
「うん。ゴールは教会。ぼくがおてつだいをしながらゴールをめざすんだって! ねえねえ、うれしい?」
「うれしい? って言われてもなあ? なんで教会を目指すんだ?」
「うーん、わかんない! あ、ちょっと待ってね。ゲームをはじめますって言わないといけないの! ちょっとまっててね!」
そう言うとカーリーは上空に舞い上がる。
フォーーーーーン!
フォーーーーーン!
空に舞い上がったおさるの天使カーリーは、ぶら下げていた茶色い紐のラッパを吹き鳴らした。
「さあみんな! ゲームのはじまりだよ! がんばって生きのこってね!」
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