第2話 ウサギ天使?
静かな青緑の世界。
湖に草原が映し出され、陽の光がさざ波に反射しキラキラと揺れている。
草原では小鳥がさえずり、二匹の鹿が遠くを跳ねるように移動して行く森も見える。
ああ、なんて素晴らしい世界なんだ。
これこそ私が望んだもの。自然豊かな景色、誰もいない私だけの世界。
その世界を堪能すべく歩き回り、少し疲れたので休憩をしようと草原に寝転ぶ。
草の柔らかな感触が背中に心地よく、風が涼しく吹いてきて気持ちが良い。
目を閉じて深呼吸をすると、澄んだ空気が体の中に入ってきて、リラックスする。
この静かな世界で心が癒される。
時間が経つのも忘れてしまうほど、心地よい眠気が訪れてきた。
目を開けると、夕日が山々を染め上げている。
この素晴らしい景色を堪能しようと再び湖畔へと向かう。
湖面に映る夕日が美しく、心に響く。
この静かな青緑の世界で、自分自身と向き合い、心を整えることができる。
こんな場所があるなんて、自分が本当に幸せだと思う。
このまま永遠にこの静かな青緑の世界に留まりたいと思うけれど、明日はまた現実の世界に戻らなければならない。
夜が更け、星空が広がる中、湖畔に立っていると、遠くに狼の遠吠えが聞こえてきた。
こんなに自然が豊かな場所には、たくさんの生き物が住んでいるんだな、と思いながら、その音色に耳を傾ける。
やがて、風が静まり、夜空には満点の星が輝き、静寂が訪れた。
こんなに静かで美しい場所に来ることができて、自分は本当に幸せだと感じた。
この体験を通じて、自分自身を取り戻すことができ、心身共にリフレッシュできたことを実感する。
これからも、自然の中で心を癒すことができる場所を探し続け、日々の生活に活力を与えていきたいと思う。
きっと誰もがこの素晴らしい体験をしたら、また訪れたいと思うだろう。
ああ、最高だ。
やっぱりこのアプリを入れてよかった。
ん?
アプリ?
ああ、そうか、これは夢か。
少しがっかりしたが、それを上回るほどの感動的な世界が広がっている。
気を取り直しこの世界を楽しむことにしよう。
本当に素晴らしい。
それに引き換え現実の私は。
そう考えていると
〈ホホホーイ! みんな、楽しめたかな? んじゃあそろそろ始めるね!〉
脳内にこの世界に似つかわしくない何かわからない声が響く。
みんな?
どういうこと?
え? 私だけじゃないの?
突然、真っ黒い雲が広がり美しい空を覆いつくしていく。
今までの穏やかな自然の風景が暗闇に包まれていく。
ドーーーン!
ゴゴゴゴゴ!
血の混じった
同時に無数の炎の玉も空から降り注ぐ。
「きゃあああああ!」
なになになんなの?!
「ホホホーイ! どーもー、わたくしアウ、と申します。いやあ、おめでとうございます! 今回はあなたが選ばれました!」
「わっ!? え? アウ? いや、それよりもこれはいったいなんなの?! 選ばれた?!」
「はい! それはもう厳正なる抽選の結果? かどうかは知りませんがあなたは選ばれました!」
暗闇から突然、ウサギに羽が生えた変わったぬいぐるみが現れた。
いや、ウサギとも言えないか。
耳は長いが方目は赤いボタンもう片方は薄い赤色の宝石のようなものが埋め込まれ、口は赤い糸で縫い付けられている。
そしてなぜか羽が、そう、天使の羽がついている。
ああ、頭の上にも輪っかがあるし、そっか、ウサギのような天使のぬいぐるみなのか。
なんなの?
これ、どうなっているの?
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