第14話

 あれから3日が経った。最初の頃はサイクロプスにびくびくと怯えていたけど、サイクロプスの場所は音で分かると理解したらもう大丈夫だった。


 なぁ、そろそろレベルアップするんじゃないか?


『そうですね、もうそろそろかもしれません』


 てっきりアイスなら進化するレベルが知ってるかと思っていたのだが、この前聞いたら知らないと言われた。


 幸いにもこの森林には俺でも一対一なら勝てる魔物がうじゃうじゃいて、獲物には困らなかった。


 先程狩ったトレントをバリバリと食べながら歩く。


 トレントは木に擬態する魔物で、擬態していると本当に木にしか見えないが、鑑定すれば一発で分かる。


 だけどこんな森林の一個一個の木を鑑定するのは面倒くさく、大丈夫だろと思って鑑定をサボって近くを通ったら不意打ちされてしまったことがある。


 トレントは戦闘能力自体はあまりなく、不意打ちされても難なく倒せるが、何度も不意打ちを受けてしまう。


 なので、この森林ごと《狐火》で燃やし尽くしてやろうかとアイスに相談したら、『死にますよ』とどこか呆れたように言われてしまった。


 前方にアサルトボアが現れる。


 名前の通り、突撃する猪だ。さっきはトレントを食っていたが、アサルトボアが最近の俺の主な食料であり、経験値源だ。


「ボォオオオアッ!」


 馬鹿の1つ覚えのように突撃をしてくるため、アサルトボアの進行方向から退く。アサルトボアは本当に突撃しかしてこないのだ。


 ま、その突撃に当たったら死ぬだろうけど。


 アサルトボアのステータスは


 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


【名前】ー

【種族】アサルトボア

【状態】良好

【レベル】23

【HP】49/52

【MP】 26/26

【攻撃力】 79

【防御力】 27

【魔法力】 12

【素早さ】 62

【称号】 馬鹿


 《加速》 《突撃》


 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


【称号】である通り馬鹿みたいなステータスだが、これが意外と強い。


 とりあえず突撃しかしてこないため、ステータスのいい所を常時発揮している。


 俺が突撃を避けると、アサルトボアは木にぶつかり、木が折れる。そして、その木はトレントだったようで段々と擬態が解けて、顔が出てくる。


 俺!? て顔だ。ご愁傷さま。


 アサルトボアがトレントにぶつかり、俺を見失っている内に攻撃を仕掛ける。


 と言っても、アサルトボアは【防御力】と【HP】が低いので、《引っ掻く》だけで倒せた。


 トレント、仇は討ったぞ。


 2体の魔物を近くに寄せ、その傍に腰を落とす。


 流石にこの量は歩きながら食うことはできないからな。


 ぼりぼりむしゃむしゃと、どっちがおかずでどっちが主食か分からない物を一心に食らいつく。


 この組み合わせ意外といけるな。


 元人間とは思えない発言を心の中でする。


『進化が可能になりました』


 え?


 アイスの返答は思っていたのとは大きく異なっていた。


『進化先を選んでください』

 〈炎狐〉

 〈雷狐〉

 〈玄狐(幼体)〉

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る