第13話

 木々が風に揺らされ、枝や葉が波打つように揺れる。それに合わせ、微かに漏れる木漏れ日がこれもまた揺れる。


 鳥のさえずる声さえも聞こえる。


 ここ最近物騒なことばかりだったから荒ぶった心が徐々に静まるようだ。


 ズバババーンッ!


 俺に気を緩めるなとでも言いたいのか、木が倒されたような物騒な音が聞こえた。


 なんだなんだ。


 落ち着きかけていた心がまた強ばる。


 木の陰に隠れながら、音の発生点に向かう。だが、発生点まで行かなくても近くに行けば分かった。


 棍棒らしき物を持った3つ目の巨人が歩いている。


 はぁ!?


「こっ·····!」


 大声が出そうになったのも仕方ないと思う。


 だってその巨体もさることながら、ステータスもやばかったのだ。


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【名前】ー

【種族】サイクロプス

【状態】良好

【レベル】37

【HP】194/194

【MP】 72/72

【攻撃力】 211

【防御力】 129

【魔法力】 74

【素早さ】 46

【称号】 森林の破壊者 徘徊する巨人


 《力任せ》 《魔眼》 《棒術》 《馬鹿力》


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 おかしいだろ!!


 あの中ボスが可愛く見えるくらいステータスがおかしい。


 なんだよ【攻撃力】200越えって。スキルも数は少ないけど、恐らく【攻撃力】が増えるやつと、《魔眼》とかいう俺が取ろうとしたら120Pもいるやつを持ってやがる。


 インフレしすぎだろ。


 とりあえずその場から逃げた。


 中ボス戦でレベルも上がったし、《狐火》使えば勝てるかもしれないけど、今戦うような切羽詰まった理由はない。


 戦うのは強くなった後でいいだろ。


 そう思い、上層に戻ろうと来た道を戻っていたつもりだったが、走っても走っても階段にはたどり着かない。


 この道で合っているのか!?


『もう通り過ぎました』


 へ?


『階段があったはずの場所はもう通り過ぎました』


 アイスは2度言うが俺は理解できなかった。


 えーと、どゆこと?


『恐らく、消滅したか移動したかのどちらかでしょう』


 つまり、俺は上層に戻ることはできないってこと?


『移動した場合は探せばあるでしょうが、どちらにしろ今の時点では戻れないってことですね』


 てことは、俺はあの化け物が彷徨いている場所で過ごさないといけないの?


『そうなります』


 えー。

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