第12話
『《狐火》使用』
平坦な声と同時に俺の口から勝手に《狐火》が出てくる。
「グォ·····」
アースモンキーは断末魔を上げようとするが、続かなかった。
てか今、勝手にスキル使われたな。
アイスそんなことも出来るんだ。
九尾の狐は俺の中にいる訳だし、分身体であるアイスも俺の中にいるってことだから別におかしい訳ではないけど·····
なぁ、アイス、《狐火》禁止ってアイスが言ったことだよな?
スキルを使われたとかより、俺はこっちの方が気になる。
『そうですけど、まさか死にそうになっても使わないとは思わなくて』
じいちゃんに修練では手を抜くなって言われたからな。
『修練?』
あぁ、言ってなかったっけ? 俺じいちゃんに武器を使っての戦い方を教えて貰ってたんだよ。
『え、じゃあこの《狐火》禁止は意味無い·····ですよね。すみません·····』
この《狐火》禁止は実戦経験を積むといった目的でしているからアイスはそう思ったのだろう。
いや、意味無い事はないよ。実際に実戦経験はあまりなかったから、今回も油断して死にそうになってたしな。
だから気に病むことは無いよ。
『もしかして·····《動体視力強化》もいらないんじゃ·····』
俺の話はもう耳に入っておらず、自虐的になっているようだ。
アイスの顔は知らないが、困り顔で頭を抱えているのは想像できた。
アイス、九尾の狐の分身体じゃなかったっけ? 俺のことはあまり知らないの?
『分身体といっても、細かいことをいえば別の個体です』
そうなんだ。じゃあ今回は仕方ないんじゃない?
『以後気をつけます』
平坦な声だが、反省していることは分かった。
そんなことよりさ、下層に向かおうよ。
『はい』
元アースモンキーのほとんど炭を食べながら階段近くまで歩く。
俺は階段の前まで来ると、数歩後ろに下がる。そして、助走をつけて、跳ぶ。
中々良い跳びっぷりだ。
中々良い跳びっぷりだったのだが、階段が思いの外長く、途中で空中での体制を制御できなくなり、下を向いてしまってそのまま階段に額をぶつけてしまった。
そして、例のごとく階段をころころと転がる。
更にまたまた例のごとく回りすぎて、平衡感覚が狂ってる体に鞭を打ち、周囲を確認する。
前回はここで猿の魔物の奇襲にあったからな。もう同じヘマはしない。
周囲を注意深く確認するが、幸いにも周囲には魔物がいなかった。
そして、その事に安堵した俺は再びゆっくりと周囲の光景を見る。
そこは森林の中だった。
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