第15話

『進化先を選んでください』

 〈炎狐〉

 〈雷狐〉

 〈玄狐(幼体)〉


 どうやら、進化するのに必要なレベルに達したようだ。


 アイス、この前みたいにステータスに表示して。


『了解です』


「くおっん」


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【名前】テンヤ

【種族】地狐

【状態】空腹

【レベル】35


 《進化可能》

 〈炎狐〉

 ランクB-に指定されている魔物。ベテランのパーティと同等程度。炎を自由自在に操る。


 〈雷狐〉

 ランクB-に指定されている魔物。ベテランのパーティと同等程度。雷を自由自在に操る。


 〈玄狐(幼体)〉

 ランクが指定されておらず、この世界では存在が確認されてない魔物。幼体だが、潜在能力が溢れている。【称号】九尾の狐の加護によって選択できる進化先。


【HP】57/72

【MP】41 /94

【攻撃力】 62

【防御力】 39

【魔法力】 85

【素早さ】 51

【称号】 九尾の狐の加護 猿の虐殺者 悪食


 《鑑定》 《剣技》 《無限の胃袋》 《光魔法》 《噛み付く》 《神通力》 《爪鋭化》 《爪硬化》 《引っ掻く》 《動体視力強化》


【スキルポイント】34


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 炎狐と雷狐には【称号】関係無さそうだな。


 それなら、玄狐(幼体)にしようかと思ったけど、幼体なんだよなー。


 安定性を求めるなら炎狐か雷狐だな。


 うーん、どうしようかな。


『この世界では自分の思ったままに生きるのではなかったのですか?』


 そうだったな、その通りだ。


 よし、俺はげん·····やばっ!


 あぶなっ、進化したら気絶するの忘れてた。


 安全な場所を探そう。


 周りに障害物とかがあって、襲われる危険の少ない場所を探すが、中々見つからない。


 まぁ、当たり前だ。3日間ここにいたけど、そんな場所はなかった。


 だが、そんな当たり前は運という圧倒的強者に敗北した。


 見つかったのだ。ちょうどこの森林にいる魔物が通れないような小さな洞窟が。


 今日の俺はついている。元の世界なら、速攻宝くじを買いに行くほどだ。


 洞窟の中に入ると、そこには階段の続く小さな岩肌の部屋があった。


 階段があることで魔物がここから出てくるのではないか、という心配が生まれたが、この森林にはこの階段が登れるほどの小さな魔物がいないことに気づいた。


 もしかしたら、知らないだけで小さな魔物がいるかもしれないが、リスクは0にすることはできないと割り切る。


 玄狐(幼体)に俺はなるッ!


 ワクワクしながら、心の中でそう念じる。


 すると、段々と体が熱をもちだし、さっきまで正常に動いていた心臓も、血を全身に爆発するかのように送り出した。


 体を張り巡る血管が、存在を主張するように熱くなり、血が確かに巡っていることを教えてくる。


 俺は数秒耐えたのち、眠るように気絶した。

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