第9話

 いやー、ここまでの道のり長かったわ。


 俺は今階段の前にいる。といっても岩に隠れた上に階段の前にでっかいお猿さんを挟んでだが。


 このお猿さん鑑定してみたところ、ちょっとおかしかった。


 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


【名前】ー

【種族】アースモンキー

【状態】良好

【レベル】21

【HP】 80/80

【MP】 62/62

【攻撃力】 39

【防御力】 52

【魔法力】 38

【素早さ】 25

【称号】中ボス


 《土魔法》 《棒術》 《ぶん殴る》 《挑発》


 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


 これが中ボスかよ。

 今の俺これだぞ。


 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


【名前】テンヤ

【種族】地狐

【状態】空腹

【レベル】7

【HP】23 /31

【MP】 35/48

【攻撃力】 29

【防御力】 17

【魔法力】 46

【素早さ】 21

【称号】 九尾の狐の加護


 《鑑定》 《剣技》 《無限の胃袋》 《光魔法》 《噛み付く》 《神通力》


【スキルポイント】14


 ーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーー


 道中襲ってくる魔物(ほとんど猿の魔物)を撃退していったら、レベルは多少上がったけど、ステータスはアースモンキーに劣っている。


 うーん、やっぱりレベル上げしようかな……


 ゲーム脳でそう考えてしまったが、レベル上げしようとも、レベル上げにちょうどいい魔物がいない。


 弱い個体は集団でいるし、単体で行動する俺と同等ぐらいの魔物はあまりそこら辺をうろついていない。


 レベル上げの方法が中々思いつかない。


 だが、俺の脳裏にはある光景が蘇った。


 でっかい岩陰にどこからか持ってきた稲ワラ――牛小屋にあるやつを敷いて寝ている大量の猿の魔物だ。


 俺は今めっちゃ悪い顔をしていることだろう。



 ヒヤッハハーー!


「クォッフォーン!」


 《狐火》の封印を早々に無かったことにし、寝ている猿の魔物にばんばん使う。


 逃げ惑う猿の魔物だが、岩陰の広げすぎた稲ワラにも火がつき、逃げることは許されない。


 ステータスを開くと、レベルが今の時点で14になっていた。


 効率最高じゃん!


 だけど『あなたが殺したのですから食べますよね?』という声が気がかりだ。


「ぐぉおお!」


 他の猿より一回りでかいやつが棍棒を振るってくる。


 HPがもう残り少なく、俺が《噛み付く》だけで死んだ。


 こいつは美味そうだな。


 少し焦げ気味だが、いる場所が良かったのか他よりかは数倍美味そうだ。


「がぅあぁぁ」


 最後の1匹が倒れた。


 あいつに襲われてたらやばかったな。


 さっき襲ってきたやつよりもでかく、ステータスを見れば俺よりも高かった。


 ま、火炙りにされたけど。


 よし、食べて行くか。


 この量のほとんど炭の肉を食べるのは少しきつい。中には美味しそうに焼けているやつがいるが、そんなものひと握りだ。


 一匹一匹食べていき、最後に俺を襲って来た美味そうなやつを食べてみる。


 口に入れて噛んだ瞬間、口の中に血と肉汁が溢れた。炭のようなパリパリとは違い、歯ごたえのあるパリパリだった。


 これだけ食べて、お腹いっぱいにならないって不思議な感覚だな。血がいいアクセントになるとか思っちゃってるのもちょっと不思議だが。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る