第3話
ふぅ、こんなものかな。
あれからずっとブルベフ狩って食ってをしていると気づいたことがある。
まず、経験値が入るタイミングだ。
経験値は2回のタイミングで入ってくる。1回目は殺した時、2回目は食べた時だ。
一度殺すだけで食べずにステータスを確認しても、レベルが上がってなかったのにそれを食べた後にはレベルが上がっていた。
ただ、食べる量によって経験値が入るのかはまだ分かっていない。
もう1つは、無限の胃袋のスキル効果だ。
無限の胃袋は食べても食べても、【状態】が空腹のままになる。一見デメリットに見えるが、食べれば経験値が入るということも考慮に入れると、経験値を人より沢山貰えるチートスキルになってしまう。
だけど、俺は思うんだ。人間の体で【状態】がずっと空腹なら、何のメリットもないんじゃないのかと。人間ならこんな魔物食わずに普通の食い物があるだろう。いや、もしかしたら俺が気づいてないだけで他にもスキル効果があるのかもしれない。
さっきそう思い、ステータスの中に表示されている無限の胃袋を鑑定してみた。
「くおっん」
ーーーーーーーーーー
無限の胃袋・・・お腹がいっぱいになることは無い。
ーーーーーーーーーー
結果、俺は神様に嫌がらせを受けていると分かっただけだった。
いや、まぁ狐の今ならメリットの方が大きいと捉えることも出来なくはない。デメリットも結構大きいが。
もういい!やけ食いだ!
「くぉん!こっん!」
考えるのが嫌になった。
さぁ、ここでテンヤの狐でもできるブルベフ釣り講座!
ここでは自分の経験を元にブルベフを手軽に釣れる方法を伝授します!
まず、光魔法で明かりを出す。魚は光に集まるとか言いますしね。
え?光魔法なんて持ってないって? じゃあ諦めましょう!
次に光に集まってきたブルベフを咥えて陸に放り投げる。
それを続けていたら陸に何も出来ないブルベフが量産されます。それを一匹づつ【スキル】の噛み付くでHPを減らして殺していきましょう。
ただ、楽しようと思って何匹も一斉に噛み付くを使ったらダメですよ。口の中ずたずたにされますからね。
そして、全部殺したと分かったら食べていきましょう。
ん〜美味しいですね!
はぁ…何してんだろ俺。
気を取り直して、食欲の思うままにブルベフを狩っていく。
ブルベフ釣り講座の手順を4回ぐらい繰り返し、最後の一匹を食い終わった時にそれは起こった。
『進化先を選んでください』
〈リトルフォクス〉
〈地狐〉
脳内に声が響く。
久しぶりに人の声を聞いた気がする。まぁ、すごい平坦な声だけど。
リトルフォクスと地狐かー。どっちにしよ。
『地狐を推奨します』
え? 自我あるの? てか俺が考えてるの分かるんだ。
『前者は否定、後者は肯定します』
どゆこと?
『私は九尾の狐の分身体であなたに死なないようアドバイスするために作られたものです』
へー。
『反応薄いですね、あなたの祖父なら「ぎょええ!」とか言ってたでしょうに』
なんなの、じいちゃん定番ネタになってんの? てか絶対自我あるでしょ。
あと、平坦な声でぎょええ!とか言わないで。
『全て否定します』
否定されちまった。
で、俺はどっちを選べばいいの?
『知りません』
こいつ意味ないじゃん。
『あります。あなたが後悔しないように情報を渡せと指示されてるだけで、私ならあなたを最善の道へと導くことができます』
お、おう悪かった。
この人(?)なんか怖い。
まぁ、とりあえずリトルフォクスと地狐って何だ?
『めんどくさいので、ステータスに直接情報渡しますね』
いや、めんどくさいってどういうこと―――ぎゃああッッ!
「こぉーッ!!」
頭はち切れるかと思った…
なんで、ステータスに情報渡しただけで頭痛くなるんだよ。おかしいだろ。
『筋肉痛のようなもので、普段使わない機能使って脳に痛みがあるだけです。次からは大丈夫です』
もういいや。
「くおっん」
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【名前】テンヤ
【種族】子狐
【状態】空腹
【レベル】8
«進化可能»
〈リトルフォクス〉
ランクD-に指定されている魔物。一般人では敵わないが、冒険者の少し経験を積んだパーティーと同等程度。
〈地狐〉
ランクは指定されていない。この世界では存在が確認されておらず、神通力を扱うことが出来る。【称号】九尾の狐の加護によって、選択出来る進化先。
【HP】 13/1
【MP】 5/12
【攻撃力】 8
【防御力】 6
【魔法力】 10
【素早さ】 7
【称号】 九尾の狐の加護
《鑑定 》 《剣技》 《無限の胃袋》 《光魔法》 《噛み付く》
【スキルポイント】14
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神通力ってなんだ?
『この世界の魔力のようなものです』
うーん、冒険者の少し経験を積んだパーティーと同等がどの程度か分からないけど、地狐にしようかな。【称号】のおかげで選べるみたいだし、ロマンの塊だからな。
心の中で決めたら、体がどんどん熱くなって来る。
なんだこれ、これが進化するってことか?
うわあああッッ!
「きゃうぅぅん!」
意識をどうにか持とうとするが、最終的には手放してしまった。
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