第24話 そして雨が上がる

──某日、ターサ王女殿下改め女王陛下の戴冠式が盛大に催された。

 愛する夫を喪った悲しみを抱えつつも幼い息子を心の支えにして再起を果たした彼女の姿に胸を打たれて涙を流した者は少なくない。

 その翌日にルクトー王子殿下が王族の地位を返上。

 女王陛下から辺境伯の爵位を賜り、国境防衛の任に就くこととなった。

 また国家反逆罪で失脚したジェスター宰相の後任はロッド王弟殿下が推薦した人物が務めることになった。

 そして──


「未だに信じられませんよ……身体が弱くて外に出るのもままならなかったあの坊っちゃんが昇爵しょうしゃくするなんて……」

「いやショーシャクって何だよ」

「文字通り爵位が上がることだ。今回の活躍でポート様は子爵になった、それをあいつは喜んでるんだよ」

「……要するに本物サマが偉くなって嬉しいってことか?」

「まぁそうだな」

「影武者くんがよく働いてくれたお陰だよ」


 夜逃げに使えそうなルートを教えておっさん捕まえる手伝いをしただけなんだけどなぁ。


「そういや本物サマが偉くなったってことは取り潰しの危機が去ったってことか?」

「一先ずはね」

「お前は今まで以上に忙しくなるけどな」

「は?何でだよ」

「地位が高くなればなるほど周りからの恨みや妬みを買いやすくなるからねー」


 あーはいはい、そういうことかよ。


「それはそうと影武者くん、今回頑張った報酬として何を貰うか決めたかい?」

「ああ、それなんだが──」

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