第23話 チェックメイト
「お急ぎください閣下!」
「分かっておる!」
誰がボロを出した。
いつ綻びが生じた。
どこで立ち回りを間違えた。
「いたぞ!」
「取り囲め!」
馬鹿な、何故だ。
どうしてもう、先回りをされて──
「夜逃げを成功させるコツは目立たない工夫をすること。服装、タイミング、直前の行動」
「何奴──ぐぁっ!」
「尻尾を掴まれた直後に着の身着のまま逃げ出すのは是非捕まえてくださいって言ってるようなもんだぜ、おっさん」
護衛の背中を踏みつけたまま、薄汚い格好をした男は下卑た笑みを浮かべる。
「っ……貴様如きに捕まるぐらいなら!」
「誰が許すかよ、そんなこと」
──何が、起きた。
懐に忍ばせていたナイフで首を掻っ切る筈だったのに。
どうしてこんな、地に頭を擦り付けるような姿勢になっている。
「……後のことは任せて良いのか?」
「ああ、ここから先は我々の管轄だ」
やめろ、ふざけるな。
こんなことあってはならない。
こんな形で終わって良い筈が無い。
こんな、こんな──
──宰相の悪事は白日の下に晒され、然るべき罰が下された。
三十年の禁固刑。
宰相の年齢を考慮すると事実上の終身刑だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます