第18話 複雑極まる家庭事情
「──で、どこから説明すれば良いんだ?」
「四人の王族の関係から、ですかねー」
「そこからかぁ」
やめろ弟クン、俺に憐れみの目を向けるな。
「まずロッド王子殿下、ターサ王女殿下、ミュンツェ王女殿下は実の兄妹でルクトー王子殿下は三人の従弟……って言った方が分かりやすいかな」
一人だけ仲間外れってことか。
「序列だけ見れば長子であるターサ王女殿下が一番高いけど、当人が辞退を表明したから次に序列が高いロッド王子殿下が王位を継承する……予定だったんだけど……」
「それが崩れてご覧の有様、と」
「予定通りに事が運んでいたら最悪の場合この国が滅んでたかもな」
そこまで行くのか、分からなくもねぇけど。
「ロッド王子殿下は絶賛傷心中、ターサ王女殿下もダウンしている現状で国王の座を継ぐことが出来る最有力候補は末妹のミュンツェ王女殿下……なんだけど……」
「野心はあれど実力不足、称賛に値するものを何一つ持ち合わせていないかの王女は次の国王に相応しくない……ってのが反対派の主張だな」
随分な言い草だ。
「じゃあルクトー王子殿下が王位を継げば全て丸く収まる……とはならないんだよね」
いや今のはなる流れだろ。
「ルクトー王子殿下は現国王の兄君を父に、花売りを母に持つ庶子。本来は生まれ持った地位を剥奪して辺境に流されるべき人だ」
「そんな奴がどうして次の王様になれそうな立場に置かれてんだよ」
「妙な動きを見せたら万に一つの可能性を失うことになるぞって脅しを支持派にかけるためさ」
要は人質か。
「王兄殿下と正妻の間に子どもがいたらまた話は違ったんだろうけど、これは論じるだけ時間の無駄だな」
「子宝に恵まれなかったからこそルクトー王子殿下が生まれたようなものだしね」
なるほど、そういう事情か。
「ところでその王子様は王様になりたがっているのか?」
「いいや、自分は王になるべきじゃないって繰り返し表明しているよ」
「支持派の連中がその意向を素直に聞き入れるとは限らないけどな」
「じゃあ王子様をどこかに閉じ込めて好き勝手やる可能性もあるってことか」
「──、」
おい何だよその顔は。
「やるかやらないかで言えばやる方だよなぁ、あの人たちって……」
「まさか兄様はそこまで見越して……?」
一応考えついてはいたんだな。
流石にそこまではやらないだろって切り捨ててたってだけで。
「何にせよ、確固たる証拠を掴めるまでは噂話を聞いて回ることしか出来なさそうだね」
「証拠を掴んだ後に一番忙しくなるのはお前だぞ、次期ヒロイック卿」
「プレッシャーをかけるのはやめてくれないかなぁ!」
マウント野郎の奴、楽しそうだなぁ。
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