第10話 傍迷惑な癇癪
「──状況を整理します。ディスカード卿が若君の待つバルコニーに来た瞬間、柱の裏に隠れていた何者かが二人を突き落とした」
「揉み合いの末に揃って転落、打ちどころが悪くて死んだって体にしたかったんだろうな。実際の被害はうちのご主人が片足を痛めた程度だが」
その程度で済んだのは鍛えてもらったお陰、だな。
まぁそれはそれとして、だ。
「……色々と無理があるだろ」
「全くだよ、計画性が無いにも程がある。まるで癇癪を起こした……あー、そういうことかー……」
「若君?」
マウント野郎の奴、今の流れで何を察したんだ。
「僕たちを突き落としたのはあのワガママ女に誑かされた奴だ」
「ワガママ女?」
「いつも男に囲まれてるゆるふわ令嬢」
「……あいつか」
てか両極端だな、あいつの評価。
「お前、あいつの機嫌を損ねることをした覚えは?」
「無い……と思う」
「声をかけられたことは?」
「無い」
「目が合ったことは?」
「……どうだっけ?」
「気の所為ってことにした時はあっただろ」
そういえばあったような、無かったような。
「それが原因だよこのニブチン」
「はぁ!?」
「あのワガママ女は無視されるのが嫌いなんだ」
「そ、そんなしょうもない理由で殺されかけたのかよ……」
もっとこう、あるだろ。
「僕が巻き添えになったのは……飽きられた、辺りかな」
「ここ最近メロゥ様が若君に向ける視線は冷ややかになってきていましたからね」
ワガママ通り越して理不尽だろ、それ。
「帰りてぇ……」
「僕もだよ。パーティー会場に戻ったらまた襲われるかもしれない」
「下手人の捜索と始末は私どもにお任せを」
めちゃくちゃ頼もしいな、向こうの付き人。
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