第四章] ① 事件解決?


   ガサ入れと事情聴取


 その時、再度係長の携帯に電話が入った。係長は胸ポケットから電話をみた。

「あっ、奥田管理官だ!」と言って、再びデッキへと急いで行った。

「はい、平滝ですが、管理官、何か用事でしょうか?」

「あぁ、今田岡君が君に言われて取ってきたと言う戸籍の謄本をみてるんだがね、誰だね? この長谷川友枝さんと言う人物は」

「はい、例の事件で射殺されたOさんの奥さんです」

「そうか、彼は亡くなる前に結婚してたんだね、その奥さんの名前が長谷川友枝さんというのか。復籍して二ヶ月後に男の子を産んでいるね。そして、長谷川友枝さんの戸籍が新たに作られて、しかもその後今から二年前に病死しているな」

「えっ、病死してるんですか。では今はその長男だけが、一人残っているわけですか。と言うことは、彼はまだ独身なんですね」

「そう言うことだな、えっ、おい平滝君今気づいたのだが、この長男の長谷川哲夫というのは。ひょっとして、彼のことか?」

「そうなんですよ。そして、外からの圧力により伏せられていた、自衛隊の容疑者の名前を兵庫県警の捜査一課長に、そっと、教えて貰いました私の感にビンゴでした」

「と言うことは、その容疑者とは」「その通りです管理官。つまりこれは単純な復讐劇だったのですよ」

「しかし、もうあれから三十四年経つのだよ。まだ恨み続けているものなのかね? 未だ見た事もない父親だよ」

「そ~ですね。ヤッパリ母親の苦労が許せなかったのではないでしょうか? 一人息子を大学まで卒業させるなんて、かなり無理をして仕事をしていたと思いますね。そしてその苦労が死んだ母親の原因にも繋がっていたとなると、やはり、憎しみは湧いてくるのではないでしょうか」

「フーム、そう言うものかね。しかしそうだとしても、未だ物的証拠があがっていない」

「そ~なんですよ、ですから証拠を隠蔽する恐れがあるということで、彼の住居と、職場をガサ入れできないかと思いまして」

「フーム、今の状況の推測だけで、裁判所の許可が降りるか難しいところだな」

「そこは、管理官! 例の検察の特捜部に声掛けを手伝って貰って、ガサ次第では、特捜のほしい資料が出てくる可能性もありますよ」

「そうだな、やってみるか」

「管理官❗ 宜しくお願い致します。うちの三係の西谷巡査部長にいって、書類を作成させてください、彼が証拠隠滅を図る前に。必ずどちらから物証が出てきます。私は確証しています」

「そうか、君がそこまでいうのだったら、私が責任を持って、お札を取りに行って貰うよ」

「有り難うございます。管理官」と、言って電話を切った平滝係長は、席に戻っていった。

「山田さん、ついに明日はガサ入れが出きるかもしれないよ」

「えっ、ついにですか。上手く物証が出るといいのですが」

「出るさ、必ず、彼は自分と佐伯部長との関係はばれるはずがないと考えているだろうからね。まだ完全には、証拠隠しが出来ていないはずだよ」そうして二人は作業の確認をしながら、新横浜駅に到着し、頼んでいた覆面車に乗って、夕方捜査本部にたどり着いた。

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