⑤ 捜査本部にて
管理官から、兵庫県警に対するアプローチはOKだと、サインがあった。平滝警部は軽く頷くと、
「それでは、管理官❗ 明日にでも山田和夫さんと一緒に、行かせて貰います」管理官は笑顔で頷いた。
夕方になると、捜査員が三々五々として捜査本部に戻ってきた。皆さえない顔をしている。有力な情報を得ることが出来なかったのだろう。しかし、此のままでは物証が得られない。何か、物証は得られないものか………。平滝警部は右手で髪の毛を摘まんでは、弄ぶ例の癖を繰り返していた。
そこに鑑識や科捜研に頼んでいた結果報告が届いた。
○Nシステム……指定された時間帯でのミニクーパは、車体の色や年式等が解らないため、東京都内でも多数走っており。特定不能。
○携帯電話……ログイン出来たが、大したものはなし。依って通話記録だけを添付しておく。ついでに、家電の通話記録も同じく添付しておく。
○パソコン……これも同じくログイン出来たが、中身をコピーしたので、本部にて、仕訳を望む。コピー内容は別添。
○指紋……多くの指紋があったが、前科者リストに該当する指紋なし。
○足跡跡……特に特定できるものはなし。はっきりした足跡は採取されていない。
○凶器……手作りの散弾銃と思われる。
以上
何とも手懸かりなし、と言っているのと同じだ。そこで、平滝係長が手にしたのは、パソコンの内容を打ち出したものだ。
「うーん、管理官。どうやら蓬莱専務が言っていたのと違い、横領をしているのは、自分ではないことを綴ってますね。いや、それどころか佐伯部長は内部告発を考えていたようですよ!」
「何だって! 内部告発? 一体どのような告発なんだ」
「どーやら、政治家に対する疑惑の献金の事みたいで、それに使った金を佐伯部長が横領したように誤魔化そうとしている。と言った内容ですね。これは警科研に頼んだ、会社にあったパソコンの中身も楽しみですね。しかし、殺人事件とは直接繋がりがない」
「いや、解らないよ。警察庁の警科研の結果次第では、どうなるか楽しみだな」
「ひょっとしたら、特捜部が喜びそうな内容かもしれませんね」
「は、は、は、そうかもしれないね」管理官は、軽く笑った後、
「後は君たちの兵庫県警での調査を楽しみにしてるよ」
「はい、了解しました。あっ、山田和夫さんが帰ってきましたね。オーイ山田さん」と呼ぶと彼は係長のところによってきた。
「山田さん、明日早朝から僕と、兵庫県警にまで行くからね。用意していて」
「えっ、兵庫県警にですか。解りました係長と二人ですね。用意しておきます」と言って戻っていった。
ゲタさんたちからの報告が、係長に夜遅く報告があったが、銀座のクラブを調べてみましたが、怨恨まであたるようなケースは無かった。と言うことだった。
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