② 捜査は加速する Ⅱ


「そこでだ、これからの捜査を指名して行って貰う。先ず、殺人事件の基本は何だ。あんなひどい殺しだ、かなりの怨恨があったものと思える。そこでこういう時には被害者の怨恨関係を探るのが先ず第一のはずだ。そこでゲタさんと利美さんの二人は、佐伯部長の過去から現在までを全て調べあげてくれ。仕事から生活から愛人関係に至るまでだ。夜、良く通っていた銀座の店なんかは私が持って帰った部長の名刺入れに何件か名刺が挟んであったから。参考にして当たってみてくれ」

「了解しました」ゲタさんが大きな声で答える。

「今言ったことは、明日で良いからね。それと三人一組も止めて、いつも通りの二人一組に組み直してくれないか」

「了解しました。おい、西やんも手伝ってくれ」と二人で相談しながら東玉川署の係長も一緒に組み合わせを考えるようだった。

「あれこれ、言ってすまない。もう三人体制は必要ないと考えたからね。犯行声明はどうも、フェイク臭いと判断したんだ。もう危険はないだろうと考えたもんだから」

「良いのかね」と奥田管理官から聴かれたが、

「はい、警察庁で読ませていただいた神戸の事件資料を読ませて貰った後の私の感覚、私の判断です。何かあれば私が責任を持ちます」


 そしてあくる日、ゲタやんと、萱森利美かやもりとしみさんは、○✕産業に向かって、出発した。

「先ずは、会社の総務課に行って被害者の履歴書でも手に入れるか」ゲタさんがそういうと、

「そうだな。先ずはそれからだな」と、茅森刑事が返事をした。

「しかし夜の銀座なんて行ったことがないからな。どんな雰囲気なんだろう」

「は、は、は、心配するな。俺は経験豊富だから」とゲタやんは、ペロッと舌を出した。

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