⑥ 警視庁にて
刑事部長との会談
二人は警察庁から直ぐ近くにある、警視庁へと車で移動した。警視庁に着いた二人は刑事部長の部屋に向かった。部屋のドアをノックすると、
「どうぞ」と言う渋い声が響いたので二人は刑事部長室に入っていった。そこには貫禄充分の刑事部長が、建物のガラスを背中にでんと重厚な大きな机に座っていた。管理官と平滝警部が入室すると、部長は、
「おう、君たちか。どうした? 何かあったのか?」と尋ねてきた。
「刑事部長。昨日起こった殺人事件の件で報告に参りました」管理官が答えると、
「何だ。わざわざ来たのかね。電話でも良かろうに」
「いえ、その殺人事件が、一寸問題がでてきて、部長はお聞きではないですか?」
「昨夜の殺人事件の事だろう。どうした? 何か問題でもあったのか?」
「では、まだ部長は犯行声明文の事について何もお聞きでない………」
「犯行声明文。そんなものがあったのか?」
「はい、それがその犯行文は『赤報隊』の文字がありまして。『我々一同は、天罰を加える』とのことで………」
「何だって『赤報隊!』って、あの『赤報隊』のことか?」
「そうなのです。そこで、警察庁からも事情を聴かれ、そのあとここに来たと言うわけです」
「そうなのか。また古い事件を思い出してしまったな。つまりテロってことか?」
「いえ、まだそこまではハッキリとは断定できておりません。そこに、さらに厄介な連絡が捜査本部にかかって参りまして、地検特捜部からです」
「地検特捜部? 何の関係があるんだ」
「それが、殺害された○✕産業の佐伯部長は、特捜部が今、追求している贈収賄疑惑の鍵を握る人物だったらしくて、我々に捜査資料の閲覧を申し出てきたのです。つまり我々に特捜部の手伝いをしてくれ、と言うことで話が持たされました」
「特捜部が? 何と言う調子のいいことを言ってるんだ! ふざけやがって」と、加えていた葉巻を灰皿に押し潰した。”あれー、ここは禁煙なのでは“と思った平滝警部だったが。笑いを圧し殺した。さらに部長は、
「いいから、地検のことなんて相手にするな。参考にしたけりゃ、東玉川署の捜査本部まで見に来いとでも、言ってやれ」
「それと、警察庁との話し合いで、『赤報隊』のことは、マスコミに公表すると言うことが決まりましたので、そのようにはからいます」
「あぁ、警察庁が良いと言ってるんだったら発表しろ。マスコミが騒ぎ出すぞ!」
「あと、まだ事件は起きたばかりなので、詳しい捜査は進んでおりませんので、詳しい事が判明したら、再度報告します」
「おう、大変だろうが頑張ってくれ」と、刑事部長に報告をした二人は、東玉川署の捜査本部へと帰っていった。
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