⑤ 警察庁庁舎にて Ⅱ
二人の審議
管理官に、問われて、平滝警部は、
「そうですね、何かしっくり来ない所が多々有りましたね。金沢課長は、何かとぼけた感じでしたし、蓬来専務は、佐伯部長が銃殺されたのを知っていましたし。ま、これは長谷川経理係長の言葉ですが、何かを隠している感じがありありでしたね。それから私は、今回のこの殺人事件については、現場に行ったときから、何か不自然さを感じているんですよね。所謂違和感と言いますか」
「違和感?」等と話しているところに栗林警視が帰ってきた。
「ヤァ、すまない。色々手続きがあってね。ついでに刑事局長に先程までの話の内容を報告していたんだ。すると、刑事局長は『あまり赤報隊のことには深入りしないらように言っといてくれ』って言われたよ。そして、『警視庁の誰が来てはいるんだ?』と言われたから、二人のことを話すと、『何だって、奥田管理官と、平滝警部だと』と、言ったかと思うと、何か考え込んで『あの二人か、只ではすまないかもしれないな。何しろあの二人は次長とも面識があるし、いつぞやの警備局長を自殺に追い込んだコンビ(平滝了一の事件簿 第二話参照)だからな』なんて言ってたぜ。あの警備局長の自殺に君たちが関わっていたのか」
「おいおい、自殺に追い込んだなんて、人聞きの悪いことを言うなよ。あぁ、少し前の話だけどな」
「驚いたな! あの時は警察庁全体にに激震が走ったんだぜ」
「まぁ、その事はもうすんだ事だから。事件簿を見せて貰ってるぜ」
「あぁ、それは構わないが、例の特捜部との協力関係だがな。局長の意見では、『あまり好ましくないかな』とのことだ」
「そうか、警視庁としても、刑事部長に一言言っておかなくてはな」
「そうですね」と、平滝警部は頷いた。
「広報室の方では、『赤報隊』のことはマスコミに発表しても良いのかな?」
「広報室としても、仕方あるまいと、言ってたぜ。何も隠す必要は無いだろうと。マスコミに何でもかんでも隠すと、想われたくないらしい」そこで、管理官が立ち上がり、
「事件簿も見せて貰ったし、ここらで引き上げようか。いいかな警部?」
「はい、ある程度は理解できましたから」
「それじゃあ、栗林。ここらで俺らも引き上げるよ。警視庁に戻って、刑事部長に相談をしなくては」と言いながら二人は席を立ち上がった。
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