② 合同庁舎にて Ⅱ

     警察庁登場


 小坂部主任は、何やら頭をかいて、考えているようだったが、そこに応接室のドアを開けて、入ってきた人物がいた。その人物は管理官を見て、

「ヤァ、奥田じゃないか」奥田管理官は、"えっ、"と言った感じで、顔を見上げると、

「おぉ、栗林くりばやしじゃないか」と、懐かしそうに握手をした。

「スミマセン、実は彼は私の警察学校で同期の男で今は………。お前今は何やってんの?」

「突然スミマセン。私は彼の同期で、今は警察庁刑事局 捜査第一課 重大被害犯罪捜査企画官付課長補佐を受け持っています。栗林修警視であります」と言って三人と名刺の交換をし、小坂部主任の隣に腰かけた。

 「どうしたんだ? 一体」管理官が言うと、

「イヤ、勿論玉川東署の所長から警察庁広報室の方に『日本民族独立義勇軍 別動 赤報隊 一同』を名乗った殺人事件が起こったとの報告が入ったので、刑事局を通して、俺の係まで連絡が入ったんだ。だから、刑事局長を通して、俺に事件の概要の調査及び報告をするようにと、命令があったのさ。だから玉川東署の所長に電話をしたら、もう警視庁の警視と警部が○✕産業まで被害者である部長の詳細を調査に出掛けたと言うことなので、その後の行動を聞いたら、なんと! “特捜部”に会うと言うじゃないか、何で? と、思ったが、とにかくここに来たと言うわけさ」

「じゃあ、警察庁でも特別重大事件と考えている訳なんだな」

「そりゃそうさ、なんと言っても『広域重要指定116号事件』何だからな」

「現場に犯行声明が貼ってあった」

「その事は、まだ誰にも言ってないんだろ」

「勿論だ、ここに犯行声明の本物を持っている」

「そうなのか、だったらそれを俺に渡してくれよ。科警研で印刷機の機種犯行文を打ったパソコンを特定してみるよ」 

「あぁ、そうか、それならば頼むよ」と言って、管理官は、犯行文の声明文を鞄から取り出し、栗林警視に渡した。

「結果が出たら、俺たちにも教えろよ。そうだついでに、このパソコンも頼むよ、昨日殺された部長の机にあったパソコンなんだが、ロックが掛かっているからついでに頼むよ!」と言われたので、平滝係長が抱えてきた段ボール箱からパソコンを取り出して、渡した。

「あぁ、解った。任せとけ」と威勢の言い声で警視が言った。

「とは言ったものの、実はな、今回の事件について、上層部の方に政治家から何やら、圧力が掛かってきているはみたいなんだ」

「何だって!」

「右よりの議員やら、○✕産業の上層部も絡んでいるらしい」

「どういう圧力だ?」

「イヤ、どうもなにも、『あの事件にはあまり深入りしないように』ってな話さ」

「どういう事だ❗ 仮にも警察庁指定の重要事件の犯行声明が出ているんだぞ!」

「どうも、赤報隊から脅迫されている議員やら、あの会社も脅迫状が届いているらしい」

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