② 殺人現場


「へー、大きな屋敷だな」主任が感嘆しながら外塀の大きな開き戸仕様の玄関を開いて入っていった。

「なんだか変だな!」平滝係長が言った。

「何処がですか」

「ゲタさん、事件の割には鑑識の人員が多すぎないか?」

「そう言えばそうですね。被害者は一人と聞いておりますが……」

 するとそこに二人に近づいてくる人物がいて、自己紹介を聞くと、玉川東署の西川原純にしかわらじゅん係長だった。二人も西川原係長に、自己紹介をした。

「はい、待っておりました。本庁からお二人が来ると連絡を受けておりましたので、お待ちいたしておりました。現場をご案内いたします。さぁ、どうぞ」と屋敷の方に導いてくれた。玄関を上がり、大きな座敷へと誘った。そこで見た光景に、二人も唖然とした。死体はもう運び出されていたが、そこに座っていただろうと、想像できる座敷の中央にある立派な座敷机の上座に座敷椅子があり、座敷机の上は、血で真っ赤に染まっており、更に部屋中に被害者の血が飛び散っていた。流石のゲタさんも唖然としてこの光景を眺めた。

「平滝係長! こ、これはどの様にしたらこんなに血が部屋中に飛び散るのでしょうかね?」

「うーん、私の見たFBIの資料では、多分至近距離から散弾銃を正面からまともに受けたんだろうね」

「な、なる程❗ こんな殺害現場は私も始めて見ました。」

 そこで玉川東署の西川原係長が言葉を挟んだ。

「そうなんですよ、私も始めての経験です。肉片なども飛び散ってましてね」

「それでこんなに、鑑識係が沢山出ているのですね。あれっ、ゲタさん、あそこで調べているのは、鑑識課の二係の係長、作田さくださんじゃないか?」

「ホントだ、本庁からも鑑識課が出動しているんだ」

「そうなんですよ、その辺の経緯は上の者でないと分からないのですが、被害者は佐伯泰三さえきたいぞう五十九歳○✕産業の経理部長です。○✕産業と言うのはリゾート開発事業を手掛ける大手企業で、海外でも有名な会社です。奥さんは五年前に病気で亡くなり、子供は皆さん独立しておりますので、この広い屋敷に独り暮らしでした。身の回りの世話は通いの家政婦が毎日行っていました」

「この事件には、何かあるな」と平滝係長が拳を固めた。そう察した係長は、屋敷中を鋭い眼光をしてくまなく見ていった。一通り見て回ると、

「西川原係長。ある程度分かりました。一緒に玉川東署に捜査本部が置かれているでしょうから、捜査本部に参りましょうか」

「はい、分かりました。それでは本部に参りましょうか」と言うことで三人は玉川東署の捜査本部に向かった。

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