平滝了一の事件簿 Ⅱ『フェイク捜査』

淡雪 隆

[第一章] ① 平滝班出動

 

主な登場人物

警視庁刑事部一課強行班係第三班

 管理官  奥田昭二    30歳

 係長 平滝了一 警部   31歳

 主任 篠立寅雄 警部補  45歳

  愛称 ゲタさん  

 班員 西谷郁夫 巡査和夫35歳

  愛称 西やん

 班員 梨田 豊 巡査部長36歳

  愛称 梨さん

 班員 山田和夫 巡査部長 35歳

 班員 土田久夫 巡査部長 35歳

  愛称 和夫

 班員 五月由実 巡査部長 30歳

  愛称 ゆみ

 班員 武田利夫 巡査長 28歳

  愛称 としお

 班員 松下 誠 巡査長 28歳

  愛称 まこと

 班員 田岡義夫 巡査長  26歳

  愛称 よしお

 班員 土田孝雄 巡査   25歳

  愛称 しんまい 

玉川署署長 神楽坂進  50歳

   一課長 山部俊郎  54歳

    係長 西川原純  40歳


 令和四年九月十日(月)午前九時

 駅を睥睨へいげいするかのように屹立きつりつする白い建物は飯櫃いびつな格好をしているビルだ。この建物の刑事部捜査一課強行班係の第三班に所属する新米刑事の土田孝雄つちだたかお巡査が窓から外を眺めていて、

「あ~あ、今日は良い天気だな~最近暇で気分が良いですね~」

「そうだな、俺たちが暇だと言うことは良いことだよ。世の中平和と言うことだからな!」と、山田和夫やまだかずお巡査部長が言った。係長の平滝ひらたき警部と主任の篠立虎雄しのたてとらお警部補(通称ゲタさん)が、将棋を指していた。

「う~む! 難しい局面だな。詰めろを掛けられてしまった。警部! 一寸待って下さい」と主任が頼むが、

「駄目だね。待った無し。大体なん回目の待っただよ! 駄目」

「そんな殺生な。頼みますよ」

「駄目ったら、駄目」

「う~む、・・・・・」それを見ていた土田巡査は、

「下手な考え休むに似たり。もう主任の負けですよ。これで三連敗ですね」

 これを聞いたゲタさんは立ち上がると土田の頭に拳骨を一発頭に食らわした。

「孝雄! 余計なこと言うんじゃないよ」ゲタさんは将棋盤をグシャグシャと壊した。

「あ~あ、主任の癇癪だ」そう言うと土田は逃げ出した。三十六計逃げるが勝ちだね。等と騒いでいると、係長に電話が入った。

「はい、三班です。あ、一課長。何か?」

「おう、今度は三班の番だったな。世田谷区用賀一丁目で、殺人事件発生だ。署長の協力要請が来た。玉川東署に行ってみてくれ」

「了解しました! おいっ、みんなお呼びだ。場所は玉川東署。行くぞ」

 そう発破をかけると三班の全員が玉川東署に向かった。

「見ろっ、お前が暇だな何て言うから。馬鹿っ!」山田刑事が言った。そして、一緒に奥田おくだ管理官が同行した。

「ゲタさん、玉川東署に行く前に、現場によって行こう。他のみんなは玉川東署に直行していいからさ」と警部が言った。早速ゲタさんは、玉川東署に無線連絡をして、場所を確認して現場に直行した。現場は豪邸が立ち並ぶ高級住宅街の一画にあった。

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