サボった魔法使い
魔法学校に通うルミ・ヨゾラは、真面目で優等生な魔法使い見習いだった。彼女のクラスメイトには、サボり癖があるミタ・サボルーがいた。ルミとミタは性格が正反対であり、毎日のように大喧嘩を繰り広げていた。
「ミタ、なんでまた授業をサボったの? 私たちは魔法使いになるためにここにいるんだから、真面目に勉強しなきゃダメでしょ!」
「ルミちゃん、僕は勉強も大事だと思うけど、楽しむことも大事だと思うんだよね。だから、たまにはサボっても問題ないと思うんだ。」
「そんなこと言って、いつまで経っても成長しないわよ!」
「まぁまぁ、僕もそれなりに勉強してるさ。ただ、遊びも大事だってことを伝えたいだけだよ。」
「そんな甘い考えで、ちゃんとした魔法使いになれると思ってるの?」
そんな喧嘩が毎日のように続いていた。
しかし、ある時、ルミは研究に失敗が重なり、その結果を出すために引きこもってしまった。彼女は疲れ果てて、どうしても解決策が見つからなかった。
その頃、ミタはルミの様子に気づいて心配していた。
「ルミちゃん、ずっと研究室に引きこもって大丈夫かい?」
「ミタ、ありがとう。でも大丈夫、私はこの研究を絶対に成功させなくてはならないの。」
「でも、たまには休むのも大切だよ。ほら、今日はとてもいい天気だし、どうせ授業も面白くないだろう。だから、少しだけ外に出てみない?」
ルミは渋々承諾し、ミタと共に学校を抜け出して山へ向かった。
ミタとルミが学校を抜け出し、山へ向かう道中、二人は様々な話題で盛り上がった。
「ルミちゃん、実はこの山には珍しい魔法の花が咲いているんだ。僕が見つけたときにはびっくりしたよ。」
「ほんとうに?それはどんな花なの?」
「『ルナリス・ウィスパー』という名前で、夜になると花びらが光って、まるで星空のように見えるんだ。」
「それは素敵ね。まさかミタがそんなことに興味があるなんて。」
「えっ、僕だってたまにはロマンチストだよ。」
ルミはふっと笑い、ミタに質問した。
「ミタ、私たちが山に行く意味は何?ただ、サボりたいだけじゃないの?」
「実はね、ルミちゃんがいつも研究に夢中になっていて、僕はちょっと心配していたんだ。だから、たまには息抜きも大事だと思って、この山に連れてきたんだよ。」
「ありがとう、ミタ。私も疲れていたのかもしれない。」
道中、二人は互いに趣味や好きな魔法について話し合い、お互いのことをもっと知る機会となった。ルミはミタの意外な一面に驚き、ミタはルミの研究への情熱を尊敬するようになった。
山に到着すると、辺りはすっかり暗くなっていた。二人は山の頂上にある開けた場所へ向かい、そこに座って夜空を見上げた。星が無数に輝き、まるで天の川が流れるかのような光景が広がっていた。
「こんなに美しい夜空は、初めて見るわ。学校の中にいると、こんな素晴らしい光景に出会えないわね。」
「だろう?たまには外に出て、こういう風に自然を楽しむのもいいよね。」
ルミは深くうなずき、満足そうな笑顔を見せた。そんな彼女を見て、ミタはにっこりと微笑んだ。
その時、ミタが話題に出していた珍しい魔法の花「ルナリス・ウィスパー」が咲き始めた。夜空に映えるその花の光は、まるで星々が地上に降りてきたかのように美しかった。
「ミタ、本当にこの花は素晴らしいわ。こんなに美しいものに出会えるなんて、本当に感謝しているわ。」
「そう思ってもらえるとうれしいよ。これからも、いろんな経験を一緒にしていこうね。」
二人はその夜、山で見た美しい星空と魔法の花を忘れることができず、互いの違いを受け入れ、学校生活を楽しむことができた。そして、お互いに影響を与えあいながら、魔法使いとしての成長を続けていくこととなった。
めでたしめでたし
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