腹ペコドラゴンと生贄エルフ

ある日、美しいエルフの村で、リーリアという名の若いエルフが生贄として選ばれた。彼女は村の掟に従い、信仰の対象であるドラゴン・グルマンドへ向かわねばならなかった。


リーリアは勇気を振り絞り、ドラゴンの住む山へと足を進めた。山頂にたどり着くと、巨大なドラゴン・グルマンドが彼女を待っていた。


「おお、新しい生贄が来たか。だが、正直言ってエルフの肉はもう飽きたぞ。代わりに何か美味しい料理を作ってくれ」


リーリアは驚きのあまり呆然としたが、すぐに立ち直り、ドラゴンへ提案した。


「では、私の得意料理をお作りしましょう。ただ、材料が必要ですので、お山の中でそれらを探させていただけますか?」


ドラゴンは興味津々でリーリアを見つめた。


「ほう、それなら楽しみだ。さあ、料理の材料を探しに行くがいい」


リーリアはドラゴンの許可を得て、山の中にある森へと向かった。森にはさまざまな野菜や果物が生えており、リーリアは必要な材料を見つけ出すことができた。


リーリアは野草や果実は見つけ出すことができたが、肝心の肉が足りないことに気づいた。彼女はドラゴンのために美味しい料理を作りたい一心で、山の中にいる動物たちに声をかけた。


「すみません、私はドラゴン様のために料理を作っていますが、肉が足りません。どなたかお手伝いしてくれる動物はいませんか?」


すると、森の中から一匹のウサギが現れ、彼女に話しかけた。


「僕はウサギのボブです。実は、森の中で悪いオオカミが迷惑をかけているんだ。オオカミを倒してくれたら、その肉を使って料理を作ってもいいよ」


リーリアはウサギのボブに感謝し、彼と一緒にオオカミを探しに行った。


リーリアとボブは、オオカミが出没すると言われる森の奥へと進んでいった。やがて彼らは、そのオオカミを見つけることができた。オオカミは大きくて恐ろしく、森の動物たちを脅かしている様子がはっきりとわかった。


リーリアは勇気を振り絞り、ボブに言った。「ボブ、私がオオカミを引きつけるから、その隙に背後から攻撃してね」


ボブはうなずき、リーリアと作戦を練った。リーリアはオオカミに向かってエルフの特技である華麗な弓術で矢を放ち、オオカミの注意を引いた。オオカミはリーリアに向かって飛びかかろうとしたが、リーリアは素早く身をかわし、オオカミをかわした。


その間に、ボブはオオカミの背後に回り込み、巧みに小さな岩を投げてオオカミの足に当てた。オオカミは足を痛がり、バランスを崩した。リーリアはその隙をついて、オオカミの頭に矢を放った。矢はオオカミの頭に命中し、オオカミは倒れた。


リーリアとボブはお互いに満足げな顔を見せ、無事オオカミを倒すことができた。


オオカミを倒した後、リーリアとボブはオオカミのもとへ戻った。ボブはリーリアに微笑んで言った。


「リーリア、すごかったね!僕たち、見事にオオカミを倒したよ。約束通り、このオオカミの肉を使って料理を作ってね」


リーリアはボブに感謝の言葉を述べた。


「ありがとう、ボブ。君のおかげでオオカミを倒すことができたわ。これから一緒に美味しい料理を作ろうね」


リーリアはオオカミの肉を丁寧に捌き、森で集めた野草や果実と組み合わせて料理を考えた。リーリアは料理の最中、ふと思いついてボブに言った。


「ボブ、ドラゴン様がどんな味付けが好きかわからないわ。もしかしたら、辛いものがお好みかもしれない」


ボブは顎を撫でながら考えた後、にっこり笑って言った。


「そうだね、ドラゴン様は火を吹くことができるから、きっと辛いものが好きだよね!」


リーリアとボブは相談して、ドラゴンのために辛い料理を作ることにした。彼らは森の中で最も辛いと言われる植物の唐辛子を探し回り、ついに見つけた。リーリアはオオカミのステーキに唐辛子をたっぷりと加え、ドラゴンが喜ぶであろう辛さに仕上げた。


料理を完成させたリーリアはボブに提案した。


「ボブ、この辛さはどうかしら?試しに君が一口食べてみて」


ボブはリーリアに言われるがまま、辛いステーキを一口食べた。しかし、その瞬間、彼の顔は真っ赤になり、口から煙がもくもくと出始めた。ボブは慌てて水を飲み、リーリアに向かって言った。


「リーリア、これはちょっと……辛すぎるかも!」


リーリアは苦笑いしながら、辛さを抑えるために甘いソースを追加して、ドラゴンに食べやすい味にアレンジした。二人は苦労の末に完成させた料理を持ってドラゴンのもとへ向かった。


リーリアとボブは、辛さを調整した料理を持ってドラゴンのもとへと戻った。彼らは緊張しながらドラゴンに料理を差し出し、ドラゴンは興味津々でそれを見つめた。


ドラゴンはオオカミのステーキを一口食べると、目を見開いて驚いた。


「おお!これはなんという味だ!この辛さと甘さが絶妙に調和している!」


ドラゴンは舌を出し、火を吹いて喜びを表現した。リーリアとボブは安堵の表情を浮かべ、互いにハイタッチを交わした。


「ありがとう、リーリア、ボブ。あなたたちのおかげで、こんな美味しい料理にありつけた。これからは生贄などいらない。代わりに、この料理を作ってくれるなら、村人たちを守ってあげよう」


リーリアとボブは喜んでその条件を受け入れ、ドラゴンと友達になった。その後、二人は村に戻り、村人たちにドラゴンとの新たな約束を伝えた。村人たちは喜び、リーリアとボブは村の英雄として讃えられた。


そして、リーリアは村の料理教室を開き、ドラゴンの好みを学んだ子どもたちが次々と料理を習得し、ドラゴンとの関係がより強固なものとなった。ボブはその傍らで、リーリアを手助けしながら、村の平和を守るために戦い続けた。


彼らの活躍により、かつて生贄を求めていたドラゴンと村人たちは共存しました


めでたしめでたし

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