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それからは定期預金を解約し、それをちまちまと切り崩しながら片田舎のぼろアパートで貧乏生活を送ること5年。

仕事も一丁前にできるようになり、私はいつの間にか20歳を過ぎ、折り返しの歳を迎えようとしていた。

時間は無情だ。幼きも若きも老いも拘わりなく、時間を搾取していくのだから。

自分も、もう今日で26歳になる。

まったく、1年は早いものだ。

このままあっという間に夏が終わって季節が廻り、寒く窮屈な冬が来るのだ。


現在時刻は17:56。

帰宅をする前にスーパーに寄って食材を調達しなければ、そろそろ冷蔵庫の中身がある意味でヤバい。

地下鉄を降りて、改札口へ向かう階段を昇りながらそんな益体もないことを考えていたのが悪かったのだろうか…?

────ドン…ッ!!

駆け込み乗車をしようと、猛スピードで階段を駆け降りた女性が、階段の上段にいた自分を力一杯に撥ね飛ばした。

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