No.3-2:旅に出ます、探さな(ry

「ハンス殿を救出するという依頼は失敗してしまったのは、ひとえに拙僧の力不足故。次までにより強く鍛えてくる故、これにてしばしの別れである。ではまた会おう」


「いやぁ、まさか全く歯が立たない敵がいるとは思わなかったよ~。次までにしっかり鍛えてくるから楽しみにしててねぇ~。それじゃぁまたね」


 翌朝、道程とメリルは似たような言葉を残してパーティから離脱していった。




「で、お前らのパーティで手も足も出なかったってまじか?」

 

 少しして拠点にハg……じゃなくて冒険者ギルドのギルドマスターがやってきて今回の事情聴取を行うことに。


「鎧袖一触って感じだったな。ちょっと予想以上だった」


「じゃのぉ。ハンスは魔王の依り代に、ハンスの両親については帝国の手で改造されて亡くなっておる。完全に依頼失敗じゃの」


「そうか……。実質Sランクが4人のパーティでもどうしようもなかったか。はぁ、上に報告するの面倒くせぇ」


「それがお主の仕事じゃろう。Sランクの価値が落ちないようちゃんと報告するのじゃぞ」


「そんなんわかってる。とりあえず聞きたいことは聞いたしそろそろ戻るわ。お前らこれからどうするんだ?」


「武者修行の旅に出るつもりだよ。実力不足を痛感したしな。どこに向かうかは決めてない」


「儂としては古代大森林に行くのが良いと思ってるがの。あそこに住むハイエルフなら何か知っとるじゃろうし、道中には魔境もあるからのぉ」


「古代大森林?なんじゃそりゃ」


「簡単にいうとこの大陸の先住民族が住む地と言ったところじゃ。あそこのハイエルフは三千年は生きてるそうじゃからの。何か知っとるじゃろう。ついでに道中強い奴も沢山いるから修行の目的も果たせる。一石二鳥というものじゃ」


「ふーん。いいんじゃないか?」


「マジかよ、あそこに行くのか」


 ギルドマスターは古代大森林について知ってるのか顔を真っ青にしている。そんなヤバイ土地なのか?


「儂等のパーティで苦戦するところと言えばそこくらいしか思いつかぬぞ」


「いやまぁ、そうだけどよぉ。闘技祭には出てくれるんだよな?今更出ないとか言われても困るんだが」


「おいおい、戦争控えてるのにそんなことやれるのか?」


「既に世界各国から人を迎え入れてるからのぉ。今更中止という訳にはいかぬのじゃろうな。幸い戦争は半年後じゃし何とかなると思ってるんじゃないかの?儂は出るつもりじゃぞ」


「そうか。まぁやるなら俺も出るけどよ」


「あぁ~良かったぁ。これで出ないって言われたらどうしようかと」


「まぁ、予期せぬ事態が起こって出れなくなるっていうのは有り得るかもしれんがの」


「おい!不吉なことは言わないでくれ!」


 実際古代大森林に何があるか知らないから、闘技祭に確実に出れるとは言えないのは仕方ないんだけどな。



 その後、軽く雑談を挟んでギルドマスターは帰っていった。


「さて、予期せぬ来客があったわけじゃがもう行くかの?」


「行先はさっき言ってた古代大森林?でいいのか?」


「いいんじゃないかの?シイラとヘストはどうじゃ?」


「僕は古代大森林についてはよく知らないので任せますよー」


「私は構わないぞ。というか一度は行ってみたいと思ってたしな。貴重な鉱石やら木材やらが沢山あるらしいが、危険な場所だから私一人じゃいけなくてね。行けるなら是非」


「じゃ、そういうことで。移動はどうするんだ?」


「ちょいと時間はかかるが普通に馬車で行くぞ。シュロウに引かせて空を飛ぶには少々距離がありすぎるのでな」


「そうか。それで古代大森林の場所はどこにあるんだ?ここからどれくらいかかる?」


「古代大森林は東のヤマト神国と南のサミロ王国の間にある巨大な森で、場所はここから南東に進んだところにある。大体馬車で1ヵ月と言ったところじゃの。」


 思った以上に遠い所にあるんだな。それなら目的地に着くまでは旅を楽しむことにしよう。




「うっ……オロロロロ」


「ソフィアさん辛そうですねぇ」


「いや、お前空を飛ぶのはずるいだろ。おえっ」


「大丈夫かの?もっと吐いてよいのじゃぞ?何なら儂が受け止めても」


「いや、流石にそれはきも、う”っ」


「思わぬ弱点発見っていったところだねぇ」


 馬車にのって移動を始めたのはいいものの、揺れが酷くて乗り物酔いしてしまった。揺れは酷いしケツは痛いしお前らよくこれに乗れるよな。あとシイラ、お前空を飛んで乗り物酔い回避するのズルだろ。うぇっ。




———あとがき——————

 馬車の揺れを例えるならなんでしょうね。緩衝装置がついてない車が時速100kmでオフロードを走るようなものでしょうか。経験がないので全然想像がつかないですけど。というかそんなの経験したくないですけど。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る