3章:大陸の動乱
No.3-1:今後の方針
「ぐっ……いってぇ」
「おう、起きたか!」
確かハンスと戦って吹き飛ばされて……どうなったんだ?そのまま気を失ったのか?まじか?ってかめっちゃ身体痛い。ってかグレース、何で俺の身体に跨ってんの?お前のせいで余計に痛いんだが。
「ちょっ、どいてくれ。マジで身体痛いから」
「むぅ、すまん」
すまんといいつつめっちゃ不満そうなのは何なんだよ!マジで痛いんだからな!
「で、ここは?」
しぶしぶといった感じでグレースがどいたところで話を進める。
「パーティの拠点じゃよ。道程とメリルは別室で寝てる。ヘストはちょいと外出中じゃ。ところで飯は食べるか?儂が作ったのじゃが」
「飯って、今はそんな気分じゃ『ぎゅるるぅぅ~』……」
「くははは、腹の虫は素直なようじゃの。いま持ってくるから待っとれ」
グレースは嬉しそうに部屋を出ていった。
「はぁ~~、負けたかぁ」
まじかぁ。気が乗らなかったとはいえ悔しい。次までにしっかり鍛えないとだな。
——バン!
「持って来たぞ!ほれ、食べるのじゃ!あ~ん」
勢いよく扉を開けて部屋に入ってきたグレース。手にはおかゆを持っている。
「あ、いや、別に自分で「あ~んなのじゃ!!」……あ、あーん」
そして強制的にあーんされる。くっそ恥ずかしいなこれ。けどおかゆうま。シンプルな卵がゆだけど美味しい。
「ん、ご馳走様」
「うむ!!安静にするんじゃぞ!」
「終わりました~?入りますよ~?」
ご飯を食べ終わると、シイラが入ってきた。
「うわぁ、凄い怪我ですねぇ。まだ回復してないんですか?」
「あー、まだみたいだな」
身体を動かそうとするが上手く動かない。徐々に治っていく感覚はあるので、数時間すれば動けるようになりそうだが。
「ところでソフィアさんはお知らせみました?」
「お知らせ?システムのやつか?見てないぞ。何かあったのか?」
「何かというか、エンドコンテンツの開放というか、私たちがかつて苦汁を飲んだ人魔大戦が再び行われるようですよ?前回とは違って一部人族、主にヒューマ帝国の人間が魔族側に与しているようですけど」
「へー……はぁっ!?えっ!?まじ!?」
「まじです」
うっかり流しそうになったけどそれやべぇじゃん。まだこのゲームが発売されてから1ヵ月も経ってないのに?えぇんかそれ。……まぁ、あれを作った会社ならやりかねないか。
「宣戦布告は既になされておるぞ。半年後に侵攻してくるらしい。どこまで守るかは知らぬがの。今は情報集めでどこも必死よ。人手が足りぬ」
グレースがそういうってことはマジなんだな。
「ってことは何か?魔王が復活したと?」
嫌な予感がするなぁ……
「奴らはそう発表しておるのぉ」
「ちなみにその魔王はハンス君を依り代に復活したそうですよ」
「はぁ~~~、やっぱりか」
俺が受けたあの一撃、上級魔族のそれとは違ったもんなぁ。不意打ちだったとはいえ俺が反応すら出来ないなんてなぁ。これでも上級魔族とそこそこやり合える程度には強いつもりだったんだけどな。地味に、いや結構ショックだ。
「で、一応聞くけど魔王を倒せる目途は立ってるのか?」
「残念ながら立っておらんのぉ。魔王に関する情報も集めてはおるが、伝承程度でしか残ってないしのぉ。そういう情報があるとしたら古代遺跡じゃろうが、古代遺跡自体見つかっておらぬからの」
「古代遺跡っていうと、千年よりさらに前の遺跡か?5千年とかそれくらいか?」
「うむ、人類の文明が最も進んでいたとされる時代の遺跡じゃ。それがだいたい7千~5千年程度前じゃな。そこに何か魔王に関する文献は残っとるじゃろう」
「それでいうと神代遺跡の方が残ってる可能性は高いのでは?神々の時代の物なら色々ありそうな気がしますけど」
「神代の遺跡を探すなんぞ、魔王を倒すよりも困難じゃぞ。どこかにあると言われているが、実際に見つけたという話は前世を含めて聞いたこともない。それを探すくらいなら古代遺跡の方がまだ可能性はある。大抵は魔物の領域、魔境と呼ばれる場所にあるそうじゃからの。何でそうなってるかは知らぬが、強い魔物がいるところを探せば自ずと見つけられるじゃろう。どれくらいかかるかは知らぬが」
「ってことは情報集めをするのか?時間はそんなにないんだろう?」
「それはお主が判断すればよいじゃろう。パーティーリーダはお主なんじゃから」
「えぇ……」
そこで俺に振るのか。まじかぁ。
「あー、まぁそうだなぁ。負けっぱなしは性に合わねぇし、そのうちリベンジしたいと思ってる」
「うむ、儂もじゃ。千年前の借りも残ったままじゃしな」
「僕も千年前の借りを返したいなと。僕もこっぴどくやられましたから」
あぁそっか。前作を含めて、魔族相手に戦で勝ったことないのか。こりゃ余計に負けられないなぁ。
「で、そのためにはまず強くならないといけない。今のままじゃ勝てないからな。もちろん情報も集めるが、それと同時に更に鍛えて強くなる。そのために色々なところを旅してみよう。情報を集めるついでに、各地の強い奴と戦い、技術を学び、より強くなる。こんな感じでどうだ?」
「つまり旅をして回ると。目的は情報集めと、強い人、強い魔物とかと戦うこと。これでいいのかの?」
「まぁ、そういうことだな。どうだ?」
「いいんじゃないですか?ヘストさんはどう思います?リーダーは旅したいみたいですけど」
「んぁ?私かい?」
話していると丁度ヘストが帰ってきたようだ。にしても帰ってきて早々に『どう思う?』って聞くのかわいそうだろ。もうちょっと背景とか説明してあげたらいいのに。
「私はあんたらについていくよ。元々そういう話だったからね。旅するってことは珍しい素材とかも手に入るんだろう?ならいいさ」
ふむ、Crossのメンバーは全員賛成と。
「じゃぁ後は道程とメリルをどうするかだが……」
「あぁ、その二人は怪我が治ったら個々に武者修行の旅に出るそうですよ。二人とも今回の件で自分の実力不足を痛感したとかなんとか言ってました」
「そう、ならいいか。じゃぁそういうことでよろしく」
「はーい、僕は旅の準備してきますねぇー」
「私は鍛冶用具の準備をしてこよう」
「儂はソフィアの看病するのじゃー!!ぬふふ」
一人だけ何かズレてる気がしないでもないが、まぁいいや。身体痛いしもうちょい寝ていよう。
———あとがき——————
引っ越しが無事終了したので、今日から再開します。引き続きよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます